そのキャラに課金したい!
気ままに投稿してます。
めちゃ気を抜いて楽しく描かせていただいています。
いつ異世界転生するんだ!?
いつかします。
いつか異世界転生したその後は、偽りの神々シリーズに彼らも出てきます。
異世界転生って、転生した人たちが主人公になるのも面白いけど、
一市民になってるってのも面白いのかもしれません。
転生後の彼らについても、この気を抜いた小説で、描いていく予定にしています。
応援よろしくお願いします。
※
部活帰り、汗まみれになってドロドロになった僕は、シャワーすら浴びる気力がなく、部室の長椅子に座っていた。
その様子はかっこよく言えば、古いアニメでよく知らないけれど「明日のジョー」。
僕にとってはワンシーンだけが特徴的なアニメ。
ハードだった。
ズキン、ズキンと熱を持つ、中指が痛い。
こんなに痛いのに折れてはいないらしい。
頭からスポーツタオルをかぶって、日が暮れていく部室で脱力感を感じていた。
「お疲れ」
シャワーを浴びて爽やかな笑顔を向けてきたのは黒田コウだった。
「あ、だいぶんやっちゃったね」
自分の左手中指を見て、舌を出す。
さらさらの黒髪が自分の左腕上に近づいて、僕は咄嗟にのけぞった。
「これさ、氷水で冷やした方がいいレベルだよね」
彼はそう言って、部室の冷蔵庫から氷を取り出し、即席アイスノンを作って差し出した。
「一晩はガンガン冷やして、次の日は湿布貼ってテーピングで固定すればマシになるかも」
男前のくせに、いい奴だった。
くそっ。
俺の理論がくつがえされる。
女の子は可愛ければ可愛いほど、
ちっちゃい時から、「可愛いね」って褒められて育つから、
心の底から可愛くて。
その逆でブサイクは「可愛いね」って褒められずに、
逆にいじめられたりとかするから、心の底までブサイクになっちまう。
だから可愛い女子は天使!
で、男子の場合。
あんまり考えたことないけど。
カッコよければカッコいいほど、周りから褒められて育つから、
ちっちゃい時から、「かっこいいね」って褒められて……
ーーおや?
女子と一緒か。
一瞬冷静になって考えた。
女子と一緒だと、男前の方がだんぜん性格がいい理論が出来てしまう。
勝手なイメージで、理論無視すると、男前って女ったらしの性格悪いやつの代表になってたよ。
すまんな黒田。
黒田コウは分け隔てなく人に親切な男だった。
「一年生で、バスケ経験もないのに、大変だよなぁ。でも今日俺、君のディフェンスのエリアの広さ、驚いたよ」
手を伸ばしたら届いたあれ、ディフェンスって言えるの?
「すごいよ、森くん! リトウ君って呼んでいい?」
わぁ、黒田コウは男前で、性格良くて、天使だよ。
姉ちゃん、可愛いし。
こりゃ、天使の姉弟コンビだね。
僕はアニメキャラに二人を当てはめてみた。
黒田コウは、ルカなんだよ。
でもって、黒田アイちゃんだっけ、森ガール風の彼女。
ちょっとツンデレで、なんか意思が強い感じがして。
今ちょっと思い出せないな。
バスケのアニメに出てくる感じじゃない。
アイドルマスターやシンデレラガール系にもいないような。
ちょっと不思議な感じ。可能性を感じる女子だった。
「黒田君ってさ」
「コウでいいよ。名前で呼ぶ方がいい感じじゃん。俺も、リトウって呼んでいい?」
「いいよ」
いいけど、仲良くなる速度が早いな。
「コウーー君、……は優しいね」
久しぶりに、こんな純粋な人に出会った。
僕はメガネを鼻にずらしながら、黒田コウをじっと見上げた。
「リトウ君が純粋な人だってわかるからだよ」
僕が言った恥ずかしい言葉。
さらにそれを上回るような恥ずかしい言葉を、コウ君はさらっと言った。
全然歯が浮かないんだ。
コウ君がいうなら、それは爽やかな風みたい。
僕が女子なら、
今から、ボーイズ版ときめきメモリアル、スタート。
今風なら、戦国武将系のラブメモリアル、はじめちまうな。
ヤバイわ、黒田コウ。
天然で課金を誘う男だった。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年9月10日