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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
78/144

ビックデータを完成せよ

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。


        ※


 森利刀の母親に、彼の部屋に入れてもらって、

アイは小さく声を上げた。


 そこは日本橋と図書館が合体したような異空間だった。

 図書館といっても日本十進分類法でいうところの400番代に偏ったラインナップ、つまり科学に関する本ばかりが積み上げられている。

 それと歴史書か。


 本棚に入りきらなくなった本が床にも積み上げられ、

その本の上には色々なフィギュアが乗っている。


 けして狭くはない部屋なのに、可動域が極端に狭くなっている。


「うへっ、姉貴の部屋に似ている」

 弟のコウがつぶやいた。


 アイは腕を組んで唸る。

 一般人から見たら、これはは汚部屋レベルだけれど、

ここには森の興味と、得ようとした知識が全て揃っているのだ。

 手の届くところに全てが配置された、機能美。


 コウに言われなくても、

アイもこの部屋に入った時に、同種の匂いを嗅ぎ取っていた。


 いわゆるマニア、種別は違えどーーオタクの匂いだ。

 この本を全部森の人工知能にデータ化すればいい。

 アイは片っ端から、本の名前を携帯で控え始める。


「あの子ちょっと変わった子でね、私に似てコレクター癖があって。

2階だったから、その内床が抜けちゃうんじゃないかって、心配したくらい」


 森の母親のルイさんが、少し笑った。


「いえ。素晴らしいです。お母さまも何か集めていらっしゃるんですか?」

「ん〜。日本刀。私の実家に昔からよく転がってたから。

あ、変な家族だったからもう絶縁してるわよ。兄さんが跡継いでるし」

 そこまで言って、ルイさんは一瞬沈黙した。


「ーーまさか兄さんの子と一緒に逝っちゃうなんてね

知らなかった。同じバスケのチームメイトになってたなんて」

「え?」

 コウが驚いたように聞き返す。


「実家って、もしかして和木ーー?」

 ルイさんはうなづいた。

「兄さんに、私と同い歳の子供がい他なんて。

ヨースケくんって言ったかな?

リトウは友達もほとんどいなかったけど、最後は従兄弟と一緒だったんだって」


 ーーだから寂しくなかったよね。

 ルイさんは目に涙を溜めた。


「あの、お母さん。私達、和木君のことももっと知りたくて。

実家に入れていただけませんか!?」


 森と和木が従兄弟だと知って愕然としている弟のコウを横目に、

アイは更なるお願いをした。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月31日

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