結婚するの?
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
※
樫木とリオナの雰囲気がおかしい。
例えるなら二人の周りだけ、ベートーベンの運命が鳴り響いているようだ。
「僕たち、この女神の館の料理人になることになったから」
今日は客間だけれど、明日は従業員として住むところゲットしたから。
僕と和木、一人づつ個室がもらえるらしい。
久し振りに一人で引きこもれるのかと思うとちょっとした高揚感がある。
僕がそう言うと、樫木とリオナは顔を見合わせて、拍手した。
「2部屋も居住スペース確保したなんてすごいね」
はぁ〜。
二人の雰囲気を見て、和木が毒づくが、
樫木は全く気にせずに、マイペース全開だ。
「すごいね森、和木。でも俺たち、クエスト受けて別に生活するよ」
はぁ〜!?
「クエストって何?」
急に異世界転生っぽくなった。
なんかダンジョンで敵キャラ倒すクエストあるの?
「そんなんやない」
樫木は真面目に言った。
「俺リオナ、守れればもうそれでいい」
おい、決め台詞のつもりか?
お前まさか結婚の約束でもしちゃったの??
バスケのインハイのためにわざわざ転校までしてきたのに、
もうスポ根どうでもいいって言うんだろうか。
僕と和木は目を剥いた。
「クエストって、いったい何? 危ないんじゃ?」
「いや。ここでもクエスト賞金かけてあるみたい。
わいは料理とか知識ゼロだから、こっちで金稼ぐよ」
きっぱり言われると、職業選択の自由を否定できない。
「てことで、森と和木で一部屋な。リオナと俺はこっち」
「樫木!?」
「樫木くん!?」
和木と僕はよくハモる。
またしても同時に暴走モードの樫木に立ち止まるように呼びかけた。
樫木はひらひらと肩上で手を振って、リオナと一緒に一部屋を占拠した。
ーーああこのノリは、合宿初日で2段ベットの上の段制覇されたのと同じだ。
僕と和木は頭を抱えた。
「まあいい。どうせ明日からコックとして働くなら、まずはあの調理場に置いてる毒薬とスパイスを分ける必要があるからな。
明日から、お前も分別手伝え」
そして早く鉄を取ってこい。
和木は言った。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月31日