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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
75/144

職業;コック

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


 僕のナンづくりと和木のカレー作りは、

異世界の住人を驚かせた。


 まあ無理もないか。

 和木は、スパイスを片っ端から臭いをかいで、舌先に乗せているし。

 僕に至っては炭酸ナトリウムづくりをやっていたので化学実験をしているようにしかみえない。


「おい、あいつら呪術者なのか?」

「薬の知識もあるらしいぞ」

 調理人達が自分達を遠巻きに見て、ひそひそ言っている声がきこえてくる。


 この世界の料理の技術って、焼く、煮る、蒸す、炒めるぐらいのもんなのかもしれなかった。

 そいえば女神たちは剣を腰にさしていたけど、あれって何でできてるのかな?

 もし鉄なら、調理器具にも、もっと応用すればいいのに。


 僕達人類が最初に手にしたのは、銅。それから金。

 でも金は産出される量がすくなかったから、日常使われたのは銅だった。

 鉄があるなら、少しは錬金術の知識をもった人間もいるってことだ。

そんな人がいるなら、是非会ってみたかった。 

 

あと、調理人たち、食材の事薬って言った。

 まあ薬膳って言葉があるくらいだから、調味料も薬の一種だけどさ。


 けれど気に掛かることがある。

 時々和木が、「これ毒」って言って、唾を吐くんだ。

 「死なないでね、和木君。それから毒入りカレーはやめてね」

 なんか和歌山で昔あったんだよね、縁日のカレーにヒ素混入されてた事件。


 僕は近所で、その縁日に行ってたんじゃないかって、

何人かの友人から電話がかかってきた。

 ま、友達少なかったけど、その時電話てくれた人は、

ちゃんと友達なんだなって意識したよ。

 出不精な僕が縁日に行くわけなんてないんだけどさ。


 クジラの肉は、臭みを取るためにショウガとネギで先に下茹でしている。

 カレーの鍋からはスパイスのいい匂いが立ち昇り、その場に居た皆が生唾を飲んでいる。

 カレー作りが土鍋ってのが、憎いけど。


 僕の方もベーキングパウダーが完成し、和木に作り方を聞いてナンを焼き始めた。

 こっちからも香ばしい匂いがする。

 久し振りに、食事らしい食事にありつけそうだった。


 僕たちは配膳して、リーインリーズ伯爵の元へ食事を運んだ。

 敵である料理人たちも、同じように料理を運び、僕たちの皿と、彼らの皿が同時にテーブルに並べられた。


「こやつら、不可思議な術を使うようです」

 戦意喪失している対戦相手は、リーインリーズに調理の目撃現場を事細やかに報告した。


「薬効を嗅ぎ分けるのか?」

 驚いたように目を丸くしている。


 そして僕たちのカレーを口に含んだ瞬間、彼女はもっと驚いた顔になった。

「お前たち、うちの館の料理人に採用してやる」


 スキル、記憶力。

職業、コックになった。

異世界転生しても普通だな、おいっ!


「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月28日

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