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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
71/144

読むな、環境保護団体!

気ままに投稿しています。


偽りの神々シリーズで元気に生きている、本編のキャラクターを紹介します。


「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました」 記憶の舞姫13「ヨースケ・ワギ」

和木が出ます。

「敗れた夢の先は三角関係から始めます」 星廻りの夢10「リトウ・モリ」

森リトウも、この話でちょいちょい出ています。


 森リトウは健全。和木はまぁ不健全。



         ※


 広い、手入れの行き届いた厨房に僕たちは通された。

 そこは合宿所の調理ホールほどの大きさがあった。


 調理台はピカピカのステンレス、ーーではない。

 2~3メートルある巨大な一枚板の木が、物々しく4枚並んで、

それが調理台代わりだ。


 敵の料理人たちの数は10名程度だった。

その数と、調理場を見て僕たちが怯むだろうと、にやにやしている。


 けれど僕たちは全く動じなかった。

 逆に、ちょっとこの厨房に文句もある。

 ほんとに衛生的ですか?ここ。

 食中毒とか出してない?


 それに、女神ばっかりいると思っていたら、料理人は男ばかりでむさ苦しい。

 なぜか女嫌いの和木。

 女性に免疫のない僕。

 怯むどころか、

 僕たちはむさ苦しいところの方が、実力発揮できるんだ。


 衛生環境はさておき。

 和木が予想したとおり、神様の一族には多くの香辛料が並べられていた。

「よっしゃー!」

 これでカレーを再現できるぞ。

 二人で前かがみにガッツポーズを決め、作業に取り掛かる。


「俺がスパイスを嗅ぎ分ける。

だから森は玉ねぎ切って、炒め始めて。

大きさはみじん切りで。

じゃがいもは1センチ角。芽があれば深めにカット、

この時代だから毒性がどうかわからん。

にんじんもミックスベジタブルで揃えとくか」

「オケー、シェフ」


 薪をくべて火を起こす方法にも慣れてきていた僕は、

野菜の下処理と、火の準備にとりかかった。


 合宿の時からそうだったんだけど、肉以外の下処理はだいたい僕が片付ける担当だった。

 和木は肉をさばいたり、味付けしたり、配膳したりする。

 今回はこの異世界のスパイスから、カレー作りに適したものを

選出する作業が大変そうだ。


 敵の方は、大きな焼き場に巨大な肉を串刺しにしたものを、

回しながら焼いている。

 そうだよな、この時代オーブンとかないもんな。


 鉄を生成できれば、火のオーブンぐらいなら作れそうだけどな。

 敵を視察しながら、僕は下処理をこなしていった。


「シェフ、肉は何の肉かわかりません。魚じゃなく哺乳類。赤身強い」

「鳥でも牛でもなさそうだな。

おい、コック。ーーいやそこの料理人、この肉どこで取ってきた?」

 相手の料理人の一人を捕まえ、和木が質問した。


「海ですよ。大きな魚の肉」

 魚ーー!?

 骨ないよ。すごく筋肉発展してそうだけど。


「鯨、みたいなものだと思って調理しよう」

 和木は言った。


 うわっ!

 鯨の肉、和歌山じゃ普通小学校の給食に唐揚げで出てきたど、

今じゃ反捕鯨団体に太地町、テロ並みにやられてたよね。

 環境保護派に叩かれない?


 僕の心配を察して、和木が顔の前で、掌を縦にブンブン振った。

「ここ異世界。郷に入っては郷に従え」

 だよねぇ。

 人間って、食べられるもの模索してきたから、今生きてる。


 今飢餓で死にそうな時に、絶滅危惧種とか、心が通じるものだから食べないとか、通じるんかな?

 せめて同種だけは食べないようにとか、心が通い合った異種でも友達は食べないとか、そんな線引きしかできない時代も、きっとあるよな。


「鯨だと考えたら、臭みはそんなないはずだけど、カレーに入れるには下処理するよ」

 僕らは必死で、カレー作りで戦った。


 文明人の僕らが、料理で異世界人に負けるなんてありえない!


「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月26日

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