胃袋をつかむってやつ!?
気ままに投稿しています。
異世界転生、今まで書いてきた異世界に現代人が混在したら、
ややこしいな、って思って書いています。
「偽りの神々シリーズ」とリンクします。
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「香辛料の強い食べ物を食べ続けている人種の体臭、わかるか?」
「わからんです」
馬に乗って接近した時、一族の街に入ってきた時、
和木はこの一族の匂いを敏感に感じ取ったらしい。
「日本ってさ、わりと素材の味にこだわって、
脂とか香辛料っておなざりなんだ。
食材を調理するとき、一番大事なのはもちろん素材。
でも、素材がイマイチでも香辛料と油で、料理は如何様にも美味くなる」
この一族に来てそれが揃うってこと、和木は体臭から確信していた。
「日本って体臭とか匂いを、とにかく無臭化するように徹してるけど、外国人はそうでもない。
匂いってのも、魅力の一つだと感じるのは動物の本能だ。
匂いからその国の食文化、風土、生き様がわかるよ」
和木はヨーロッパより、アジアの方が香辛料、
つまりスパイスについては拘っているんだと断言した。
そして神様の国に、同じものを感じ取ったらしい。
「おまえの家のキッチンに、油は何種類あった?
さしすせそ以外の調味料、どれだけあった?」
料理のさしすせそ、
「さ」砂糖、「し」塩、「す」酢、「せ」醤油、「そ」味噌、なんだけど、
日常の料理じゃ、それくらいにプラス、ニンニクとか生姜とか、ごま油とか、コチジャン。
僕が作ってたのって、そんな調味料しか使わない。
あ、味の素、中華の元、オイスターソース、それで全部だ。
「中国を例に挙げるけど、そもそも調味料っていうか、
味付けの深さが根本的に違う。
素材の味を追求する日本も、確かにすごい。
でも素材じゃなくて、できた皿の味付けの奥の深さは、
日本じゃ味わえないほどの歴史を感じた」
和木は楽しそうだ。
「あの女神、俺に、いや俺たち文明人に、
仲間に入れて欲しかったら、それを示せと言った」
不敵に笑う。
「発展途上国のこんな神の国に、俺たちの知識が負けると思うか?
積んできた歴史や文化が違う。近代社会は5Gの世界なんだぜ」
女神には負けるわけないと、面白そうだ。
「手始めに、この国の香辛料つかって、あいつら胃袋を驚かせてやるよ」
シェフは風呂上がりに決意を語った。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月25日