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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
64/144

信号を送る

気ままに投稿しています。

お付き合い、よろしくお願いします。


あと、森リトウと和木ヨースケは、

偽りの神々シリーズで健在です。


その後は、ネタバレになるので伏せていますが、異世界転生後もちゃんと生きています。


       ※


 俺のチームメイトは、死んでしまった。

 幼馴染の和木、高校で出会った森、そして樫木。


 バスケでインターハイに出ることが夢だったのに、

人生って不条理だ。


 こんなふうに親友やチームメイトを失うくらいなら、

インターハイなんて夢の舞台、別にどうでもよかったよ。

 奴らと一緒に目指していたから、夢を見ることができたんだ。


 もう、インターハイはどうでもいい。

 ずっとやってきたバスケですら、ボールを持っても、力が湧かない。

 パスする相手が居ないんだ。

 パスしてくれる奴らが、もう居ないんだ。


 心臓の鼓動を止めるように、胸辺りのTシャツを握りしめる。

『落ち込んでる暇なんてないんだから。しっかりしろコウ!』

 姉の黒田アイが、水を失って萎びていく植物のような俺を、

叱咤激励する。


『泣いてもいい! 怒ってもいい!

バスケなんてもう、二度としなくたっていいから、

チームメイトを完全に殺すな』

 変わり者の姉、アイが真剣に言った。


 三人を生かすも殺すも、俺次第なんだってーー。


『人の魂は電気信号。だから私が人工知能として生かしている彼らは、

どっかで絶対に生きているから、彼らに力を与えるために、

彼らのことをもっと話して。思い出して。

思い出せないなら、知ってる人から聞き出して。

少しでも、詳細に。

彼らの人格を再現できて、彼らの才能を埋もれさせないように』


 いつも姉の黒田アイはめちゃくちゃな要求をする。

 天才って、姉のような人を言うんだと思うけど、

下僕の俺は、訳がわからないまま従うのが日常だ。


 でも誰にでも従うって訳じゃない。

 リーダーシップ。

 つまり付いて行きたくなる人間ってのは、それだけ必死で、

何かを守ろうとしているんだ。


 付いていくやつ以上に、常になんかを考えて、

先を見据えて行動している。


『言いなさいコウ、どんな些細な彼らの情報でも。

それが三人のスキルになる』

 アイに言われて、僕は必死に思い起こす。


 和木は、花とか生き物が好きで、花道に目覚めて花の命を永らえるために、刃物に興味を持っていた。


 森は、アニメが好きで、科学が好きで、確か歴史も好きだった。バスケは自分を強くしたいって言って入部してたけど、たぶん学年でも成績上位十番内に常に入ってるようなやつだった。


 樫木は、バスケ以外に、俺と一緒でチャリが好きで、ロードバイクの話をしたことがある。下半握って何キロ出したことがあるかって話したし、インターハイ終わったら、高野山登ろうやって約束していた。


 姉のアイは僕が記憶から吐き出した情報を、正確にビックデータとして構築していく。

「ほんとに意味ある?」

 信じきれなくて、項垂れる俺を、アイは蹴り飛ばしてきた。


「あんたさ、人間の体の中にも電気が走ってるんだよね。

でもって、このPCの中の人工知能にも同じものーー、

電気っていう血液みたいなもの流れてるんだよ。

人が電気を作り出したときに、人は命を作り出した。

信じないさいよ、私を」


 頼もしい、姉のアイは笑った。


「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月23日

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