条件
気ままに投稿しています。
お付き合い、オタク意見、二次創作的な考え、お待ちしています。
ほんと気ままな、そのひ生み出される、文章です。
※
僕が一番嫌いなのは、出る杭になることなのにっ!
不覚にも完全に和木と僕は今、出る杭になって、
打たれようとしている。
女神は息がかかるほど、僕たち二人に近付いてきて、
上から下まで舐め回すように凝視してきた。
「珍しい衣装だ。近隣の村のものではないな」
はいぃーー。違いますが、さすが鋭いですね。
匂いすら嗅がれそうな距離で、女神は俺達に注目した。
「リーインリーズ様、そんな汚らしい者達に不用意に近づきまするな」
一番近寄ってきているこの女神が、一番格上らしく、
他の二人が嫌悪感を表しながら、彼女を止めようとする。
僕は完全に硬直してしまったのに、和木のやつが!
「あんた本当に神なの?」
なんて、率直な質問をした。
ちょっとは空気読んで!
KYって知ってる!? ほんと空気読んで!
僕も空気読まなかったから、女神に見惚れていたんだけどさ。
そして目立ってしまったんだけどさ。
「面白い男がいるじゃないか」 リーインリーズという女神は、和木に注目を集めてしまっている。
和木は更にたたみかけた。
「でさ、神様とか貴族とかって、能力あれば仲間になれるんでしょ?
どうすりゃいいの?
その条件、聴きにきたんだけど」
わー、ど直球だ。
もう、僕は和木を止められないよ。
和木の部下みたいに横に突っ立って、青冷めるばかりだ。
「俺、女って信用できなんですよね」
わー、女神相手に本音爆裂。
「なんか、偉そうに理屈捏ねるけど、実力に伴うような努力してない女って、俺の周りにはたくさんいたし、何だかんだ男に頼りたい性質なんだって思ってきたから。ーーそちらさん、神とか貴族って言うなら実力示してくれない?」
ひゃー。
もうとり成せないぐらい無礼だった。
でもスゥシェフの僕にとっては、和木が神だよ。貴族だよ。
リーインリーズ以外の二人の女神が、剣を抜いて僕たちに攻撃耐性になる。
リーインリーズだけが、和木の態度を否定的には取らず、かといって冷静に見ているように不敵に笑った。
そして彼女は顎を上げて、腕を組み、僕たちを見聞するように高飛車に言った。
「巫女でも巫でもないのに、仲間になりたいの? そしたら実力を示さないとね」
白金の髪が海風に揺れる。
「私たちと取引できるだけの何か、持ってきなよ」
女神は言った。
「そこの人間や、野獣や、人肉の人柱なんかじゃ足りないよ。偉そうに言うお前が、私が取引したいような物を提示してこい」
そこの人間って僕ですね。野獣ってハチ公ですね。
人肉は誰のですか!?
とにかく女神リーインリーズに着目されるようなもの、
「持ってこーい」って言われたんだ。
「ああ、そのうちに取引してやる。ーーでも、そっちに対しても同じこと言ってやる。俺らが取引したくなる内容と、交換できるようなもん、あるのかってことが重要だ」
「即刻死罪だーー!」
「たかが人の言うこと、取り合う必要などない」
女神その2、その3が声を荒げたが、リーンリーズは面白そうに笑った。
「それ相応の、取引を用意してやろう。ーーま、お前達が私達の寿命と同じだけの命を永らえられたの話になるが」
ある意味男らしい女神だった。
同じくKYで、男らしい?和木が彼女の条件を飲んだ。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月22日