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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
6/144

田舎を舐めるな!

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。


終わりは見えていて書いていますが、ほとんどその日その時生まれる、アドリブです。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


 放課後、僕は先輩たちがいる時間帯を狙って、部室のドアを蹴破った。

 いや、蹴破るなんて恐れ多いことなんかできなくて、

 本当は震えながらゆっくりとドアを開けたんだけれどさ、

 ーー気持ちは、蹴破ったぐらいの勢いである。


「鳶先輩! あの、聞きました。ーーぼっ僕は、その……バスケット初心者で」

 訴える声が震えて小さい。

 心の中のボリュームは最大音量だって言うのに。

 なんて情けない自分。


「あ、ポジション聞きにきたの? センターな、おまえ」

「身長活かせるだろー」と、笑われる。


 僕の足はガクガクと震えた。

 センターって言ったら、ゴール下にいて、

 獣のような運動神経の選手たちをブロックしたり、

 あいつらを押しのけてシュートしたり、

 そんな忙しいポジションじゃないか。


「身長なら、和木君の方が高いです!」

「何お前? ポイントガードがいいの? ドリブルもパスも全然だめじゃん」


 それくらいわかってますって。

「じゃなくて、インターハイとか僕にはちょっと早いって言うか……」

 ちょっとじゃないよな。


 いくらバスケ部に入部したからって、

 そんな大そうな夢描いちゃいないよ。

 入部して1ヶ月も経っていないし、足だって痛めているのに。


「6月初旬の県大会で、3回勝てばインターハイだよ。代表校4つに残ればいいだけだから、楽勝だろ。田舎を舐めるなよ」

 舐めてませんってば。


 和歌山県。全国でも高等学校の数が少ない。

 ワースト10位に入るんだからな。

「平均でも3回から4回試合に勝てば、もうインターハイだよ」

 先輩は得意げだ。


 ちなみに東京都は435校、和歌山県50校、島根と同数で。

 スマホでネットを瞬時でググって、唖然とした。

 もちろん不公平がないように、東京だって試合回数は同じで選抜される。

 でも層の暑さは、全然違うのだという。


「それで中学時代バスケのエリート2人が入部してきたんだから、チャンスだろ?」

 先輩はニヤリと笑った。

「俺ら三年にとったら最後のチャンスなんだ。抽選結果も良くてさ、たった3回勝てばインハイ出場校なんだぜ。先輩に花持たせろよ」


「でも僕が出たら三年生の誰か出れなくなるんじゃ? ーー二年生だっているのに」

「おまえ身長いくつ?」

「188センチです」

「日本人の平均身長知ってる?」

 またしてもスマホでぐぐって答える。

 便利な世の中だよ。

「男子平均身長ですね」

 Googleタイム。

「172センチです」

「じゃあ拒否権ないってことで」

 ははははっと笑って、先輩は掌をひらひらさせた。

「オタクの青春は異世界転生」

2020年9月8日

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