表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
54/144

心理学者ユング

気ままに投稿しています。

応援よろしくお願いします。


ちなみに、偽りの神々シリーズにリンクします。

        ※


 退院した弟のコウを連れて、黒田アイは岩出市の自宅に戻っていた。

 姉弟の両親は、大阪と東京にマンションを持っていて、

和歌山の自宅に帰るのは週に一度あるかないかだ。


 コウが無事退院したので、また二人だけの生活がはじまったのだが、

弟のコウはチームメイトで友人の死を知ってから、ふさぎ込んでいる。


 そりゃ自分に置き換えても落ち込むから、無理ないと思う。

 だって毎日一緒に練習してきたチームメイトや先輩が死んでしまったんだもん。

 ショックは相当なものだと思う。


 それにインターハイ。

 バスケでインターハイに行くのが弟の夢だった。

 そのためにどれだけ練習していたか、身近でみていたアイは、

知っている。


 岩出の自宅は庭が広くて、父親がコウのためにバスケットゴールを設置した。

 スリーオンスリーくらいはできるくらいの広さがあり、

自宅に和木が遊びに来たこともある。


 和木は小学時代からの友人で、コウがバスケでインターハイを目指すと夢を口にして、和木をその道に引っ張り込んだのだ。


 その和木が死亡。そして同じチームメイトの森と樫木、三年生の先輩2人が死亡。

 その他重軽症者数名。

 インターハイどころの騒ぎじゃなかった。


 コウは縁側にすわって、バスケットボールを膝に置いたまま、

ぼんやりと庭を眺めていた。


「いつまでも落ち込んでる場合じゃないよ」

 アイは弟の肩を抱いて、隣に座った。

「――姉貴、病院で言ってたよね? やつらを救えるの、僕だけだって」

 ほんとに?

 コウの視線は救いを求めるようだ。

 まだ目の周りが赤くて痛々しい。

「うん。私に考えがある」


 インターハイ予選に出るための合宿で、

アイは、弟のコウを含めて、1年生チームメイトの和木、森、樫木をキャプチャした。


 彼らの生きてきた15、16年分の歴史、性格、身体能力、癖に至るまで、

ビックデータを作り、人工知能として生かしてある。

 もっとデータを集めれば、彼らの肉体は滅んでも、

人工知能として彼らは再生する。


 詭弁だと思われるかもしれない。

 死んでしまった人は戻らない。

 人の概念はきっとそうだ。


 けれど有名な心理学者のユングは、未来の可能性を示していた。

 彼は見たこともない国の曼陀羅を、夢の中で見て、

それを書き写したというのだ。


 人の意識は、肉体ではない部分、つまり魂でつながっている。

 アイはこの仮説を信じていた。


「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月19日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ