鬼かも疑惑!?
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
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食料があればいいのにな、と思った村で、
危うく食料になろうとしていた僕たちは、無事に村を脱出したけれど、
一人の女の子をピックした。
パーティに女の子が参加したことで、僕と樫木は喜んだけれど、
和木だけが頭を抱えている。
「これ誘拐じゃないよ、本人の意思だから」
「そうそう、無理矢理連れてきたわけじゃない」
意気投合した僕たちを横目に、そっぽを向いてしまっている。
やっぱ女の子嫌いなんだなぁ。
せっかくモテるのに、気の毒なやつだな。
僕の和木への評価が固まる。
「で、君名前はなんて言うの?」
「リオナ」
「ふうん、可愛い名前だね」
樫木が臆面もなく彼女を褒めている。
僕には無理だぁ。
女子に免疫無さすぎて、話しかけたくても難しかった。
樫木が情報を聞き出そうと、彼女の周りをうろうろしながら、
質問をしていくのを、僕は黙って聞いていた。
「どうして着いてこようと思ったの? わいと一緒に来たかった?」
そんなわけない!
なかなかどうして樫木はナンパだ。
「違います」
あ、はっきり否定された。
樫木は、あからさまに落ち込んでいる。
そういえば食べたり飲んだりしている席でも、
彼女にニコニコと話しかけてたもんなぁ。
好みのタイプなのかもしれない。
「じゃぁ、村を出るなんて、どうして決心したの?」
リオナは困ったように眉根を寄せた。
「そろそろ食べられちゃいそうだったから」
ーー出た!
人肉発言だった。
「食べられるって村の人に!?」
黙ってられなくて、僕は聞いた。
リオナはふるふると首を振った。
「貴族への献上品にされるってことなの」
何?
大した文化なんか無さそうだったのに、
この世界に貴族なんているの?
「私はあの村の巫女なんだけれど、あまり能力がないから、
貴族への供物にされるって。お母様が」
僕たちは目を見張った。
「貴族って、人肉食べるの? 僕見ちゃったんだよね。
村の裏側で、人の手足切って血抜きしてたでしょ?」
あれって何!?
そうだ。ちゃんとそのこと聞いておかないと、
いくら可愛い女の子でも人肉食べる人とは一緒にいられないよ。
ここが異世界だったら、人間みたいでも人間じゃない可能性って
多分にあるんだからさ。
それには和木も樫木も納得したようで、
うんうんとうなづいている。
逃げ出してきたけれど、とにかくまずは事実確認をしなきゃ。
僕たち三人は、リオナを取り囲んだ。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月16日