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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
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黄金比率かよっ

気ままに投稿しています。

小説ですが、エッセイみたいに書いています。

応援よろしくお願いします。

     ※


 痛い足を引きずりながら、一番最後に部室に戻ると、一年生が制服に着替えていた。

 シャワー室から次々と朝練終わりの生徒達が飛び出してくる。


 この学校、運動部のレベルが高く、シャワー室があるところが素晴らしい。

 おかげさまで、汗でグショグショのまま授業に出なくていい。


 そんな学校そうそうない。

 公立ではなく、私学の特権だ。

 授業料がめちゃくちゃ高いらしいけどね。


 僕もひとっ風呂ならぬ、ひとシャワー浴びようと、服を脱いだ。

 そこに一年生モンスター二人が、シャワーを浴びて出てきやがった。


 生まれたままの姿を見比べてしまい、

 僕は「ひぃー」と奇声を発した。

 思わずタオルで自分の体を隠し、内股になって退避した。


 一矢纏わぬ姿は、黄金比率の賜物だった。

 僕が女子なら、そっこー悩殺されると思うんだけど。


 男だからさ。

 言い表せない敗北感。

 充分装備をしてスキルを上げ、それでも一瞬でラスボスにHP奪われちまうような無残さ。

 ほんと、なんなんだよ、こいつらって。


 黒田コウ、ーー親父がIT会社の代表取締役で、IT系の専門学校も経営しているらしい御曹司。

 相方の和木ヨースケ、ーー有名な流派の華道家元で、制服以外はいつも着物着て暮らしているような浮世離れした男。

 オーラが違いすぎないか!?


 他の男子達のシャワーシーンなんて彼らに比べればイモ洗いみたいなもんだ。

 その他一本の、身長だけが取り柄の、長芋の僕は打ちひしがれる。


 しかも黒田コウ、一個年上のねーちゃん、アイちゃんだっけ。

 好みのタイプ。可愛くて羨ましい。


「朝練、終わり? お疲れさま」

「足痛めたんだって? 大丈夫か?」

 ひぃ、近寄らないでくれ。


 彼らがキラキラしすぎていて、常にモンハンの閃光攻撃を受けている気分だ。

「平気だよ……」

 僕は壁側ににじり寄って逃げる。


 敵は勝手に自分を仲間認識して、軽く声をかけてくるが、勘弁してくれ。


「さっさと足、治しておいてくれよ」

「インターハイ行くの、一年じゃ俺ら三人らしいから」


 黒田コウの言葉を聞いて、その瞬間、一気に視界がバグった。

 縮み上がるって、こんなことを言うのかな。


『インターハイ行くの、一年じゃ俺ら三人らしいから』

 一人目、黒田コウ、二人目、和木ヨースケ。

 人差し指で数えて、三人目っていったい!?


 僕ーー!?


 パニックになって、迂闊なことに僕は持っていたタオルを取り落とした。

「おまえ、筋肉ねぇー」

 和木ヨースケは容赦なく言った。

「これからだよね、森くん」

 黒田コウの笑顔が眩しい。


 ほんの二週間前に入部したばかり。

 それから、バスケのルールを覚えたのだって、高校に入ってからなんだよ。

(アニメでの予備知識はさておき)


 それがいきなりインターハイって。

 どんなシチュエーション?


 あまりにびっくりしすぎて、

 イッコウの、「どんだけー」が脳天に響く。


「む、む、む、む、無理です……! 僕なんて本当に……」

「俺もそう思う」

 和木が即答した。

 ぐさっ!

 言葉のキレ味に傷付いてしまう。


 でも、彼の言う通りだよ。

 無理なもんは無理だから、インターハイなんて連れて行かないで。


「でもさ、出場選手決めるの先輩達だから、まぁ頑張って」

 和木が言った。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年9月7日

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