逃げろ!
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
※
一晩だけ食料と寝床を与えてくれて、
その後、僕たちは食べられるんだ!
この世界の人って、人の肉食べちゃうんだ。
もう文化的なもんなんて、この村にはいっさい期待しないよ。
ちょっとでもこの村に残りたいなんて言った言葉、前言撤回するよ。
それだけ食糧難ってことなんだと思うけど、
和木の警戒心は確かだった。
僕は這うようにして、宴の席に戻ろうとした。
ーーが、それより気にかかったのは、ハチ公だよ。
人間でも食べられるんだから、まさかハチはすでに、もう??
夕食に肉食べちゃったよ。
何の肉?って思ったけど、
あれ、人肉じゃなかったよね? ハチじゃなかったよね?
衝撃が大きくて、情けないけど腰抜かしそうになったよ。
この村のルールってどんなものなんだろ?
余所者は人肉扱いなのかな?
僕は戻る前に、ハチを探して、周りをキョロキョロ見回した。
「ワホーン」
あ、ハチがいた。
繋がれているだけで、食べられていない。
僕は走り寄って、ハチを繋いでいる紐を解いた。
喜んで尻尾を振る姿が可愛く見えて、
僕はハチの頭を撫でた。
「よし、和木くんのところに戻ろう」
僕はハチを抱き抱えたまま、食事していた場所に戻った。
何食わぬ顔で戻りたかったけれど、
そんな演技力は僕にはなくて、
ハチを抱き抱えたまま、血相変えて和木の横に走り寄ったから、
和木は全てを察したようだった。
「逃げるか?」
「うん」
刀の袋に手をやって、和木は戦闘態勢に入った。
「樫木、こらっ! いつまで飲んでる!」
和木に背中を引っ張られ、僕達は走り出した。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月14日