怖いのは人なんだ?
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします、
その後の主人公達は、別シリーズ「偽りの神々シリーズ」でなんとかやってます。
※
人の文化的始まりって、こんなところだったんだろうか?
僕、歴史なんて興味なかったけど、歴史の大切さを思い知った。
僕たちをちゃんと一晩もてなしてくれるために振る舞ってくれた料理は、
全て素焼きの土に入れたれていた。
食洗機にはとても入れられそうにない、
きっと脆いこの食器を、彼らはちゃんと考え出したんだ。
そして水を救って飲む器も、ヤシの実みたいな木の身の半分を使って、
整えてあった。
「悪く思わないでくださいね。うちの村は昔、
村同士の派閥に合ってしまって、
村長は慎重になっているんです」
理由を説明してくれる、横で飲み物を注いでくれる女子が可愛い。
僕の横じゃなく、和木の横に数名むらがっているのが気に入らないけど、
体を覆う面積が少ない衣装姿を見ているだけで、
僕も樫木も鼻の下を伸ばしていた。
「みんな、若いね。村長以外、年寄りっていないみたい」
火を囲んで、食料を分け合っている村民を見回すと、
女子以外にも男子も若かった。
人の歳ってわからないけど、40歳いってる人っているのかな?
「ああ。最長齢の村長で42歳です」
え? 70歳はゆうに超えていると思ってたぐらい老けてたけど、
村長でそんなもん?
「皆、疫病や外敵に襲われて、そう長生きできないので。
和木様もそうですが、森様も、外にいながらよくご無事で」
小さい樫木を無視しやがった。
僕たち三人を同い年とは思っていないようだ。
「お強いのですね」
おやおや?
和木の周りの女が、まんざらでもない様子で和木にしなだれかかっている。
しかもーー。
さっきから飲んでいる飲料って、
水とかお茶とか、ポカリとか、そんな爽やかなもんじゃなかった。
僕たちが飲んだら、完全に日本の法律違反。
一口飲むだけで気持ち良くなるほど、度数の高いアルコールだ。
僕に至っては、初めて二、三口飲んだ酒の苦さに
咳込んで、ぜぇぜぇと顔を赤くしていた。
「これさ、沖縄の泡盛とかいう酒に味似てるって」
そんな味知ってる樫木もすごい。
樫木も同じように気分良くなっているようで、
一人だけ年下扱いされたことには、気がついていないらしい。
「お前ら、油断しすぎだろ? これ以上飲むな」
呆れた様子の和木は、険しい表情をしていた。
「酒と女と食料と、これだけもてなされたらもっと警戒しろよ」
しっかりしてるなぁ、和木くん。
僕は久しぶりに腹いっぱい食べて、眠たいよ。
和木の肩に頭を預けようとしたら、和木は僕の髪の毛を無造作に引っ張って、数十本は抜き取った。
「いでっ! 痛いって!!」
無理矢理にでも寝かせないようにしている。
明日からまた川魚食って野宿の日々だし、今日くらいゆっくりさせてくれたって……。
恨みがましい視線を向けたが、
和木は勧められるまま酒を煽っても、顔色ひとつ変えていない。
高校生ちゃうな、あいつ。
僕と樫木はかろうじて意識を保ちながらも、
和木のポーカーフェイス振りに驚嘆していた。
「俺がここから情報引っ張り出している間に、
ハチを逃がせるようにしてくれ」
そういえば、僕たちが縄で括られた時に、
ハチは別のところに連れて行かれた。
愛犬家だ、和木ーー!
僕はなんだか和木が可愛くなって、彼の意見を聞こうと思う。
「俺しょんべん」
僕は言って立ち上がった。
ここ日本なら、お手洗い案内しましょうとか、
そんな感じになるんだろうけど、放尿はどこでも自由だ。
僕は食事の席を立って、ハチ公を探しに行った。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月13日
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