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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
46/144

人、人、人っ

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


  僕らは縄で拘束されたまま、村長に会うことを許された。

 うわぁ、弥生時代ってこんな感じなのかな。

 高床式で木と藁で出来た小さな家が、村中にひしめいている。

 ここしばらく、文化ってものに触れてこなかった僕たちは、

些細な集落を目にしても、なんだか嬉しかった。


 人がいるって、やっぱりいい!

 元引きこもりの僕がいうのもなんだけど、

人って人がいないと生きていけないよ。


 引きこもってても、引きこもる家を提供してくれた僕の両親がいたし、

ネットゲームの先には繋がっている人がいたし、

アニメ見たって、それを制作してくれる人が、

僕の周りには必ず居てくれたんだって思った。


 こんな何もない世界に来ちゃって、ほんと人の有り難みが身に染みる。

「おまえ、それ以上に怖いってこと忘れるなよな」

 う頂点になる自分を、和木が諌めた。

「人って結構怖いんだぜ」

 君がいうと、ほんと後ろにハチキューさんの修羅場が見えるから、

説得力があった。


「わかってるよ」

 そんなのわかってるから、僕は引きこもりになったんだ。


 村長の家は、当たり前だけど村では一番立派だった。

 立派っていっても、大きさがちょっと大きいのと、

家を囲む石垣が付随してるってことだけだったけど。


「お前たち、どこから来た?」

 定番の質問だったが、初めて受ける面接試験みたいに、

僕は一人ドキドキした。


「川の上流の方です。仲間と逸れてしまって」

「そうか」

 和木が答えると村長はあっさり納得した。

 あれ? もうちょっとなんかない?

 僕たち結構貴方達と違う格好だし、もうちょっとなんかない?


 肩透かしを食らったが、その後の村長の言葉は重かった。

「一晩だけ泊めてやるし、夕食も振る舞おう。

けれどこの村は、他の村人との関わりをせんし、

よそから来た者を仲間にするつもりはない」

 一言で拒絶されてしまったよ。


 どうするの和木くん?

 交渉人を不安な思いで見つめるが、和木は礼を言った。

「それでいい、感謝する」

 え?

 また放浪の旅に出るの?


 和木の袖をツンツンと引っ張ると、

「攻撃されないだけでもマシだ。この村ではちょっとした情報収集だけにしておこう」

 こそっと和木が耳打ちした。


 そうだけどさ。

 ううーん。せっかく人に出会えたのにもったいない。

 そう思ったけど、樫木も和木に同感だと言ったので、僕は意見を引っ込めた。

 対人関係スキル、多分僕が一番低いんだろうから、

逆らわない事にしよう。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月13日

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