生態系
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
※
遠慮している気持ちでいたのに、
周りからは全然そう見えていなかったらしい、僕の気遣い。
しばらく座り込んで、指先で地面をいじりたいような気分になったが、
心理学の言葉に、自己評価ではなく他者評価って言葉がある。
自分で思っている自分ではなく、他者が思っている僕の方が、
きっと社会的な僕への評価なんだろうな。
そう思うと気が軽くなったので、僕ももっと僕らしくいようと思えた。
三人と1匹で川沿いを下っていく日々を続けて、
僕達は多少、この環境の生態性を学んだ。
嬉しいことにそれほど過ごしにくい気候ではない。
朝夜は少し冷え込むが、それでも上着一枚来て、
直接地面に寝ないうように工夫さえすれば、耐えられないほどじゃない。
川は澄み切っていて、川魚は豊富だった。
食べられる木の実やフルーツもあって、
初めて口にするものがあるときは、三人の中でローテーションをしながら、
順番に試食した。
これは一回、三人全員で椎茸に似たキノコを食べて、
丸一日腹を下し続けから、改善されたことだった。
キノコ類も豊富で、食べられるものも中にはあった。
明らかに毒キノコです、というような派手なものは、全員で敬遠した。
後、川の中にはピラニアみたいに噛み付く魚の種類があった。
水浴びをしていた僕たちは、奴らに襲われたことがあった。
「いでっ!」
樫木が声を上げたことが最初だった。
水の中でも、樫木の周りに小さな黒い塊が集まっていっているのが見えた。
怪我をしている血に反応する魚のようだ。
同じように水浴びしていた和木が、咄嗟に樫木の方に泳いで、
自分の方の上に樫木を担ぎ上げた。
僕も近寄ろうとすると、「来るな」と和木が言った。
和木は水泳も得意だったので、何なく岸まで上がってきた。
二人に噛み付いていた魚は数十匹はいたと思う。
大きさは10センチほとに満たないのに、口の直径も7、8センチはある。
鋭い歯に噛まれて、二人は全身から出血していた。
幸い毒はなく、命に別状はなかったけれど、
僕たちは奴らをピラニアと名付けた。
ちなみに肉食のピラニアは、結構美味かった。
けれど体を釣り道具に変える気にはなれなくて、
僕たちは怪我して血を流している時は、川に入るのを止めることにした。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月12日