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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
42/144

僕って、そんな感じ?

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

         ※


 僕たちは元気だった。

 バスケ部での猛烈な練習は、毎日体をいじめ続けていたから、

急にサバイバル状態に追い込まれても、

三人いるから、

何とか元気でいることができた。


 ここに黒田が居てくれたら、

空腹でも多分無敵だったと思う。


 川沿いを歩くことで、

今まで歩いてきた乾燥地帯ではなく、湿地帯を歩くことになった。


 水が豊かになると言うことは、

生物が多く生息する地域に出たと言うことだ。

「その分危険度が増すってことだよな」

 樫木が言った。


 一人キャンパーの樫木は、足の傷がマシになってきてからは、

野外で暮らすことのノウハウを僕達に伝えた。


「なんでソロキャンパーなの? 寂しくない?」

 僕だったらこんな大自然の中で一人でキャンプするなんて耐えられない。


 うーんと樫木が頭をかいた。

「最初は俺もキャンプとか和気あいあいとしたくってさ、

中学校の友達誘ったり、親戚の子供誘ったりしてたんだよね」

 うん。それが普通だろ。

 で、何が変わってソロキャンパーに?


「キャンプって森はやったことあるの?」

「ないよ。わざわざ外で寝る意味がわからいから」

「和木は?」

「ないよ」


 じゃあわからんよね、と樫木はため息をついた。

「いや、結構めんどくさいの準備。

文明社会に慣れた奴らを連れていくと、

やれ虫がどうした、食事の量がどうした、

バーベキューの炭の量、火を起こすスピード。

まあホント、試験みたいに査定してくるんよ、

誘われた奴らは」

 辟易したように舌打ちする。


「でさ、肉の質がどうとか、タレの種類とか、

こっちは全部準備してやってさ。

 俺は純粋に自然を楽しみたかっただけなのに、

めちゃくちゃ気を使って、毎回徒労に終わったんだ」


 なんかわかる。

 好きなアニメを共有して欲しくて、理解して欲しくて、

色々と心を砕いて、その良さを説明しても、

そんな好きじゃない奴には受け入れられないもんな。


「で、めんどくさくなったんだよ。

俺、純粋に自然の中で寝泊まりするのが好きだったのに、

何でこんな自然が好きじゃないやつと、

なんかキャンプっているイベントだけを楽しみにしてる奴らのために、

無理しないといけないんだって」


「人は十人十色だからな」

 和木が言葉を挟んだ。

 何だか和木が言うと、重みがグッと増す気がする。


「合宿の時、だから遠慮なくて悪かったと思うけど、

俺さ、あんま人に遠慮するのって好きじゃない」

 樫木は、かかかっと笑っていた。

 和木は唇の端をあげて微笑する。


 こいつら分かり合ってやがる。

 遠慮をしない美徳みたいなの、あるのか?


「森はいいよな」

「なぁ、天然だから」

 ん?


「だって遠慮してるつもりで、お前はできないやつだから」

「ああ。そのまんまだな」

 僕は絶句した。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月11日

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