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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
40/144

特技を順番に

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。


        ※


僕たちは裸で魚を食らった。

 川魚って生臭いといった記憶しかなくて、僕は恐々口にしたのだが、

和木コック長は調味料を持っていた。


「なんでインターハイに調味料持ってきてんの!?」

 僕が聞くと、

「まずい飯は食えないから、調合用に色々持ってきた」

と、こだわりたっぷりに返答した。


「和木のおかげて美味い飯が食えるな」

 樫木が、かかかっと笑っている。

 本当に頭が下がる。


 でも調味料も、底をつく時が来るだろう?

 ってことは塩はナトリウムNa。

 その補充は僕の役割。


 味付けは和木に任せても、

彼の調味料が尽きないように、僕が考えようという気になった。


 樫木は、魚を絶妙な焼き加減で差し出してきて、

この二人のおかげで、久しぶりに美味しいタンパク質にありついた。


「川沿い進んでいる限り、水と食料は調達できるかもな」

 和木の言葉に、僕たちはうなづいた。

 川沿い行くなら、もしかしたらそのうち人にも出会うかもしれない。

 ちょっと期待してしまう。


「ここが異世界なんだっていうなら、もうちょっと女っけあってもいいのにな」

「だな」

 僕の言葉に、樫木が同調する。

「大抵の異世界ものって、主人公モテるしさ、

ほとんどの可愛い女の子が、主人公に夢中になってくれるのに、

僕たち不遇だよな」

「異世界転生知らないけど、男三人、女っ気なし」

 そのうち滅びるパターンのギルドだった。

 ーーいや、ギルドみたいに依頼も受けてないしな、まだ。


 お互いの特技だけ確認し合った。

 バスケには必要なかった特技。


 和木の紹介は僕がしてやった。

「一言で言うと、極道和木・ヨースケ」

「おまえなぁ」

 リアルな学園よりも自由に、自分たちは自己紹介を続けられた。

「刃物マニアだ」

 和木は言った。

「極道って、まじもん?」

 樫木が聞いて、和木は首肯した。

「うちの家の壁は五メートルで四方を囲まれてるよ。岩出方面に行くの国道沿い左手」


 ああ。

 あの不思議な豪邸だな。

 僕と樫木は顔を見合わせて納得した。

 情報が異世界じゃなきゃ、レアすぎるよ。

 壁の上に、なんか鉄格子あったような、なかったような。


「樫木アキ。俺はソロキャンププレーヤー、ーーソロキャンパーって言うんだけど、

それが趣味だ。バスケの他に好きなのは、ロードバイク。

 インターハイ、バスケで行くかロードバイクで行くか悩んだけど、

和歌山じゃバスケしかなかったから」

 樫木は最初入学した高校バスケ部に嫌気がさして、うちのバスケ部を目当てに転入してきたらしい。

「うちってそんな強いチームじゃなかったよね?」

 僕がきくと、

「いや、黒田コウと和木ヨースケがこの学校に入学したって、後で知ったから」

 と、インターハイにかける情熱を語った。


「で、おまえは?」

 二人の視線が一心に僕に注がれた。


「僕は君達みたいに、特にスペックないよ。

趣味と特技は、科学。

あの高額授業料を払えているのだって、

たまたま親父が『○○楽園』とか、濡れ場の多い小説が映画化したからで』


「えっ!? お前あの原作者の息子?」

「すげーじゃん」

 僕は胸の前で全力で手を振った。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月9日


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