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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
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現実見ろよ

気分転換に気ままにアップしています。

小説だけれど、エッセイだと思って軽く流し読みしてください。

毒舌です。

無理な人は読まないでください。

      ※


 早朝の走り込みを、僕は続けた。

 生徒たちがほとんどいない時間に部活動をするって感覚が、新鮮で楽しい。


 ドクターストップがかかったままだったので、膝はシクシク痛んだ。

 でもさ。

 千里の道も一歩からって言わない?


 僕の知っている大人達は、親を筆頭にくたびれている。


 父の職業はエロ漫画家。母はAV女優。

 家の中が人のエロスで溢れていた。


 ーーでさ、母親のAV動画なんかも、視聴チェックで目にしなきゃなんない。

 父親が書くエロ漫画で、親父のマニアックな趣味まで知っちまう。


 はっきり言って、中学時代、思春期まっさかりの僕にはキツかった。

 右を見ても、左を見ても、家庭内の視界がエロい。


 うちって儲かっていたけどね、庶民にしては。

 だから僕が自分の部屋に引きこもっても、反応ゼロだったし。


 「若きウェルテルの悩み」とか「フロイトの男根期」なんかの本を読みながら、僕、悟っちゃったんだ。

 世の中のほとんどの人は生殖本能がすごいんだって。


 そんで。

 そういうとこにフォーカスすると、お金ってどんどん落ちてくるんだって。


 父だって昔は、まともに純文学を書く小説家志望の青年だった時期があるそうだ。

(信じられないけど)眉唾だよ。

 でも純文学じゃ全然売れなくて、逆にキモいとか言われて。

 人のニーズがある方をシャレで書いたら、

 このエロ小説が爆発的ヒット!

 こうなりゃ漫画化してやるって、やけになったら、漫画が映画化して、

 エロ女優の嫁までゲットしたんだと。


 やっぱさぁ、自分で良いと思うものを、いくら書いてもそれ、

 マスター〇〇ションだもんな。

 

 売れるもん、どんどん書いてこ、ってことになったらしい。


 ただそういう業界の人にありがちっていうか、

 ーー特に僕の父親は、行き詰まると言っていたな。

「あーあ、異世界転生したい」


 せめてさ。

 死にたいとか、自殺願望でも語られたら、子供だって心配するけど。


 異世界転生したいって、何!?

 あなた達、どっちの方向向かってるの?


 目指すは、スライム?

 ハミにされる盾の勇者?

 本を持って下克上すんの??


 僕はもうちょっと現実的なんだ。

 YouTubeとかLINE、Twitterのない世界に行ってどうすんだよ。

 1時間でも携帯手放したら、こっちは禁断症状出るって。

「オタクの青春は異世界転生」

2020年9月6日

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