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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
38/144

裸族、万歳!

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

      ※


 何日が進んだところで、僕達は川にたどり着いた。

「魚、いるかな?」

 僕たちは究極の飢餓状態だった。

 お菓子やカロリーメイトを食べてしのいできたけれど、

そろそろ肉や魚にありつきたい。


 合宿最終日に食べた、カレーの味が恋しいよ。


 川の水は澄み切っていて、

この辺りが人に汚染されていないことを知らせてくれた。


 行けども、行けども、人に会わない。

 日本だったらそんなこと考えられないのに。


 澄んだ川の中には生き物の影があって、

僕たちは期待に胸を膨らませた。


 和木がとってきてくれた解熱剤や化膿止めのおかげで、

近頃は樫木の体調も回復しつつある。


 でも食べないと体力戻らないもんな。

「よし、今日はここで食料調達しよう」

「賛成だ」

「賛成!」

 三人で拳を近づけて笑った。


 あと嬉しいのが体を洗えることだ。

 5日くらい、野宿して彷徨った。

 現代の日本社会じゃ、5日も風呂に入れないなんて、もう拷問でしかない。


 血は止まっているけれど、僕の頭はカパカパだ。

 そして堪らなく痒かった。


 なんか自分が臭いような気がしてきていた。

 ちょうどいいから水浴びするぞ。


 同じことを考えていたのか、三人で顔を見合わし、

川べりに走って行った。


 バスケ部の練習の時、和木や黒田のスタイルの良さに、

敗北感を感じていた僕だったが、今はもうそんなこと気にしない。


 いいんだ素っ裸で。


 もう風呂だって入れてない。

 ばっちい自分たちは、価値観の違う世界に来て。

 空腹を抱えて、魚を手掴みででも取らなきゃならない。

 シビアな世界。


 ゲームもアニメもない世界は、

体だけに訴えかける力は強いけれど、

生きているって気がするけど、

過酷だった。


 全裸万歳!


 現代社会でも、裸族ってあるらしいけど、

こんな気分なのかな。


 太ってるとか、スタイル悪いとか、恥ずかしいとか、

そんな感覚じゃなくて、人も生きている動物と一緒ってこと。


 川に飛び込んで、魚を追いかける。


 バシャバシャと水しぶきを飛ばす。

 キラキラと水面が輝いて、僕たちの頬を明るく照らした。


「ワホーン!」

 結局食料調達してきたのは、ハチだけだったけど。

 完全に人の文明に侵された自分たちは、自然に太刀打ちできなかったけど。

 ハチのおかげで大量だった。


「すごいなお前」

 尻尾を振って得意げなハチを僕は認めた。

 僕には懐いていないけれど、ハチは和木の前に魚を積み重ねて、得意げだ。

 和木がえらいえらいと、ハチの頭を撫でる。


 樫木は悔しそうに水面を蹴っている。

 それくらい回復したことに、僕たちは安心した。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月8日


「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」

にその後の、キャラクターが登場します。

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