食材は贖罪!
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
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和木が連れてきた犬コロは、
見た目はまあまあ可愛かった。
大きな目と、左右に大きく振る尻尾。
和木は、ハチと名付けていた。
ハチっていいったら、忠犬ハチ公でしょ。
こいつそんなに賢いの?
僕はやぶ睨んだ。
結局僕が必死に集めたバッタもどきは、
全員の胃袋が拒否をして、
ハチの餌になった。
和木が持ち帰った食料だけで、今のところ僕たちの空腹は満たされている。
獣にとったら、こんな気色の悪い虫でもご飯にできるんだから、
すごいよな。
僕が飼育をさせられていたウサギだって、
草とか嬉しそうに食ってたから。
生命の胃袋の不思議だった。
でもこいつの親って、俺たちの先輩食ってたような。
人食い犬じゃん。
「ねぇねぇ、和木。こいつ育てて大きくなった危険じゃね?」
「かもな」
「じゃあ今のうちに食わない? 犬って、赤白黒の順に美味いって聞いたけど」
「グレイだろ。きっとまずい」
和木はどうやら、ハチと名前までつけたこの、小さくて人懐っこいやつを気に入っている。
樫木と僕は、くっついて眠ったが、和木はハチとくっついて眠った。
果たして本当に忠犬になるのかどうか。
樫木の具合が回復するまで、ちょっとずつ先に進みながら、
食料と水を調整しながら、過ごしていた。
日本じゃないな。
この見解は、三人の間で一致していたので、何日か放浪した後、
救助はないんだって、シビアに考えなければならなかった。
「なんでハチ拾ってきたの? で、なんで食べないの?」
僕は、食料調達班として重要な質問をした。
「お前、こんな可愛い小動物放っとける?」
放っとけるけど。
人間以外、所詮動物だよね。
「こいつの親さ、俺が殺しちまったみたい」
罪悪感を告白するみたいに和木が言った。
僕は絶句する。
僕たちを救うために、迷わず刀で戦ってくれたのに、
奪った命の尊さを悔いているんだろうか。
その罪滅ぼしのために、ハチを拾ってきた?
「ごめん。僕もハチ、育てるの協力する」
バッタでもなんでも、ハチのご飯集めるよ。
僕は和木の肩をぽんぽんと、軽く叩いた。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月7日