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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
35/144

虫は美食?

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


 僕たちは空腹だった。

 和木がバスに医薬品と食量を取りに戻る洗濯をしたが、

それを待つ僕たちは、手持ち不沙汰だ。


 丸一日以上何も食べていなかった。

 僕にとっては、色々と二次元に夢中になることがあり、

1日くらい食べずにいることは、よくある事だったのだけれど、

運動しての状態じゃない。


 運動しなければ、だいたいお菓子だけでも生きていけたのだけれど、

バスケ部に入部して、昨日から歩いた距離を考えて、

腹時計は盛大に鳴った。


 グゥーーーー!


 ポケットに入っていたグミも、昨日の夕飯で失われた。

 明け方早くに出て行った和木はまだ戻らない。

 和木が持ち帰るだけを期待して、食料班の僕が動かないのってどうなんだろう?

 他人任せってどうなんだろう?


 僕は樫木と違って、足を使って動けるのに。


 そんなふうに思い始めた。


「樫木くん、意識大丈夫?」

「ああ。歩けるくらいには大丈夫だよ」

 いや、それは痛いだろ?

 だいぶん血も流れているし。


「森こそ、頭の出血止まったの? なんかさ、頭がパリッパリになってるけど、それワックスじゃないよね」

 んー。ワックスって買ってみた事ないからさ、多分これ、かっぱりついた血なんだけど。

 僕の横髪から前髪にかけて、僕が血を拭った方向に跳ねて、固まっていた。


 こんな赤土の、サボテンが生えたような土壌で、食料調達班には何ができるのか。

 知識だけは豊富な頭でっかちな僕は、ピンと手を打つものに思い至る。


 うげっ!

 お菓子という文明の美味な人工調味料に慣れた僕には、

思い出したくもない、ビジュアルがよくない、カルシウムとタンパク質を持った生物を思い出した。


 和歌山の高野山。世界遺産で有名なこの地の精進料理では、よく出されるところにヒントがあった。

 イナゴの佃煮。


 やっぱこんなとこにいるのは、哺乳類じゃないよね、昆虫なんだ。

 空腹だ。

 先進国日本でも昆虫を食べる文化は、密かに勢いを持っている。

 テレビで見たけれど、可愛らしく天使のような女子でさえ、

昆虫食に染まっている人もいるというのだ。


 でもーー。

 まだ僕は、昆虫をご馳走だとは思えない。

 だってさ、イナゴってバッタみたいなもんでしょ?

 バッタを口に咥えてみてよ。

 想像しただけで、あの細かい節の足が、顎に突き刺さるし、

それよりも胴体の、ちょっとわからない身の詰まったところ、

あれってなに?

 って、妄想膨らまして吐くよ。


「樫木さ、アリとかも食べれるんだけど。ちょっとタンパク質集めてきていい?」

 お前が見えない範囲には行かないから、と僕は言った。

 意外なことに樫木は拒否らなかった。


「今はなんでも、食料になるものに文句言えないよな、調理班」

 樫木は言った。

 わかった。

 僕は調理班として、和木が戻るまですべきことをするよ。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月6日

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