表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
28/144

違法所持

気ままに投稿しています。

休憩時間にサラッと書くのがマイブームです。


誤字脱字すみません。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


 逃げるって言ったって。

 僕は戸惑った。

「バスの中にまだ生きてる人がいるかもしれない。それに黒田君だって、まだ見つかってないよ」

 放っておくつもりなの?


「息のある奴を探している時間はない」

 残酷な一言だった。

「でもっ! 黒田君は……?」

「バス内に見つけられなかったんだろ? もしかすると先に外に逃げたかもしれない」

「だって外には野犬がいっぱいで、逃げるなんて無理。黒田君を探さないと。ーーそれに先輩達も」


 心臓がどくどく言って、こめかみにまでその音がじくじくと伝わってきている。

 和木は見捨てるつもりなんだろうか?


「森、冷静に考えろ。お前の話の通りなら、そいつらじきに車内にも餌がないかを物色に来るはずだ」

 低い声で説明する。

「そうなったら俺達だって餌食だよ。ーーで、この状況で動けないのは誰だ?」

 あっーー。

 樫木君は足を痛めていた。

 見捨てられない。


「この状況で、後一人でも怪我人を背負って逃げることなんて、お前できるか?」

 僕は首を振った。

 そうだ、和木の言う通りだった。

 僕たちは樫木君を背負ってでも守らなければならない。


「俺が戦ってやるよ。お前は樫木を背負って全速力で逃げろ」

 戦う?

 いったいどうやって!?

 僕の疑問に答えるように、和木は袋に入った長い棒のようなものを取り出した。


 あ、これ初日に着物で合宿に来た時にも持ってたものだ。

 着物に目が取られて、長い棒には着目しなかったが、視界の端に入っていた。


「これ、何?」

「お守り。ーーでも今は戦闘道具かな」

 和木が袋から取り出した。

 それは、日本刀。

「何これ? 本物!?」

 母の趣味でうちにも、たくさん違法所持してるけど、和木もそんな趣味が!?


 あ、違う。

 和木の家は、そういう家だった。

 本当に護身用に持ち歩いていたのだろうか?


「こう言う場面に出くわすなら、拳銃の方がよかったな」

 いやいや。

 どちらも物騒です。

「でも戦えるんだね」

「たぶんね」

 和木が頼もしく見えて、僕は僕の役割を果たそうと思った。


 樫木君が小さくてよかった。

 僕は彼を背負って逃げ切って見せる!

「オタクの青春は異世界転生」:2020年10月1日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ