死んでたまるかっ!
気まぐれに投稿しています。
お付き合い、よろしくお願いします。
私が新車のロードバイクで落車したことで、何だかキャラの方向性にも変化がありました。
※
僕は生きているのかどうなのか、わからない先輩たちの体を乗り越えて、
和木と樫木の横に、必死で四つ這いで進んだ。
「和木、樫木、大丈夫!?」
「ああ俺は無事、森は?」
和木が僕の顔を見て、少し焦った顔になっている。
いつも冷静沈着な彼が珍しい。
「お前、頭だいぶ血出てる」
僕の顔を見て、和木が顔を曇らせて言った。
「そうなんだ。でも意識はっきりしているから、僕は大丈夫」
生きていてくれる仲間がいるなら。
僕は真っ直ぐに和木を見た。
「樫木くんはどんな状態?」
和木は自分の膝に樫木の頭を乗せていた。
苦痛に歪んだ樫木の顔が、薄明かりに見えて、僕は体を乗り出した。
「樫木くん!」
「森かぁ」
いつも強気な樫木が、痛みに顔を歪めているのに、僕の顔を見て少し笑った。
「状況は?」
ポイントガード(PG)の和木の意見を聞きたかった。
「指示を出して」
僕は真っ直ぐな視線を和木に向けた。
弱気な和木は僕の知っている和木じゃない。
常に司令塔、気まぐれでもいいから、僕の前にいて!
そして指示をして。
はぁはぁと息をしながら、僕は和木をじっと見た。
「手伝え、森。ーー樫木の足が、折れた座席に挟まれている」
一呼吸ついた和木は、僕に状況を説明した。
「そこの死体を退けて、座席を引き剥がすぞ!」
強い言葉だった。
「うん!」
元は同じチームのメンバーだった人を死体だと言い切った和木に、
僕は強くうなづいた。
「和木くん、やろう」
「ああ!」
樫木、ちょっと待っていてくれ。
僕たちは二人になって、いつもの司令系統に戻って、日常を取り戻した。
力がみなぎる。
先輩ごめん!
ほんと、ごめん!
でもちょっとだけ無造作に、僕は素早くそこを退けてもらうよ。
「樫木くん、ちょっとだけ待って」
僕と和木は意を決して。折れた座席の上に山積みになった死体を引きずった。
僕たちは、死んでたまるか!
「オタクの青春は異世界転生」:2020年9月29日