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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
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救助は!?

気ままに投稿しています。

応援よろしくお願い申し上げます。

        ※


 気がつくとそこは空気が違った。

 横転したバスの中、バスケ部員全員が真っ暗な中でうめいていた。


「いてててっ」

 頭に手をやると、髪の毛がぬるっとした手触りに濡れている。

 起きあがろうと手をついたが、生き物のようだ。

 人の体が重なり合っている?


 バスで目を覚ました時、僕は自分が死んだことに気づいていなかった。

 何が起こったのかわからなくて、体が痛くて、パニックになった。


「和木くん、黒田くん、どこ?」

 僕はチームメンバーの名前を一人づつ読んでいった。


 事故に遭ったんだ。

 インターハイに向かうバスの中、突然バスが無理な方向へおおきく傾いた。


 事故に遭ったのは夜ではなくて、日中。

 それなのになんで今、こんなにも暗い!?

 救助されずに、そのまま放置されてしまったのだろうか。

 不安になった。


 自分が手をついて起きあがろうとした時に、下敷きになっているのは誰だろう。

 そうだスマホ。

 ポケットの中から取り出した。


 ぽうっと僕のまわりだけが明るくなったが、

画面上に表示されている文字は圏外。


 僕はライトをオンにして周囲を確認した。


 地獄絵図ってのを昔見たことがあった。

 でも人の体が無造作に積み重なって、

 割れた窓ガラスの破片が刺さっていて、血だらけの様子は、

スマホの薄灯に照らされて、余計に不気味だった。


 震えあがっった僕は、声も出せない。

 スマホの画面にも赤い血がついている。

 僕の血だろうか!?


「誰かっ!」

 誰か返事して!


 こんな惨状なのに、救助が来ていないなんて信じられなかった。


 むぎゅ。

 僕の隣には、3年生の先輩が座っていたはずだ。

 真っ黒に日焼けした逞しい肌に白い歯が印象的な好青年だった。

「先輩!」

 多分彼だと思って、スマホの明かりを照らしてみる。


「うわぁぁぁぁ!」

 先輩の顔を確認すると、白目を剥いていた。

 不自然な方向に首が折れ曲がっている。

 死んでいるーー!?


 変な汗が噴き出してきて、僕はへたり込んだ。


「誰かっ、返事して!」

 死人を初めてみた僕は、動揺する。

 知っている先輩だった人が、もう動かなくなって、少し冷たい。


「うわぁぁあ、うわぁぁ!!」

 死んでいるのだと理解しても、嘘だろと言う思いが交錯して、

 彼の腕を持って振り回してしまう。


「大変だ、先輩が!」

 震えるまま声を出した僕は、多分正常じゃなかったと思う。


「しっかりしろ森!」

 声をかけられるまで、狂ったように叫んでいた。

「森!!」


 僕は振り返った。

 懐かしい、知っている声!

「和木くん! 和木くん!和木くん!?」

 何度も連呼して、千切れるぐらい首を振って、彼の姿を探した。


 よかった生きてるんだ。

 生きててくれた!

 和木くん。


「森おまえ、こっち来れるか? 樫木がちょっと大変で」

 樫木くんもいるの!?

「うん、すぐ行くよ」

 二人がいてくれるだけで、僕は泣きそうになって喜んだ。

「ちょっと待って、すぐそっち行くから」

 僕は先輩の動かなくなった重い体を脇によけた。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年9月29日

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