食べるもんどうするんよ!
気ままに投稿しています。
なるべく文章少なくしていますので、あとは皆様の想像力で書き足してください。
※
合宿初日の練習で、思いの外僕はボロボロにならなかった。
部活と授業を一緒くたにこなしている日常よりも、
体の鍛錬だけに集中できている方が楽だった。
樫木君はフォワードのポジションを希望したので、
残念ながら僕のセンターポジションは奪ってもらえなかった。
コンプレックスかもしれないから決して言えないけど、
小さいもんね、彼。
でもスモールフォワード(SF)のポジションは黒田以外ないから、
別のポジション狙った方がいいと思う。
センターならいつでも明け渡すんだけどねぇ。
少しづつでも筋肉がつき始めた僕の体は、
想像していた通り、バスケには向いていたようだった。
手足だけではなく、指も長いので、
片手で難なくバスケットボールを掴むことができるのだ。
スパイダーマンみたいな吸着力のある指で、
先輩たちから徐々にボールを奪えるようになっていった。
だはー。
1日目終了。
「飯だ、飯」
空腹に行き倒れそうになりながら、食堂に向かう。
朝食は家で食べてきた。
昼食はコンビニに買いに行った。
あれ?
夕飯ってどうなんの!?
待って!
食堂のおばちゃんたちって、土日祝休みだよね。
てっきり用意されているとばかり思っていた食卓は、
もしかすると幻かもしれない。
合宿所にも食堂はあったけれど、
自炊かもしれないって可能性に、僕は誰より早く気がついた。
閑散とした食堂に、腹ペコになった僕たちは立ちすくんだ。
「先輩!、なんで飯ないっすか?」
「そりゃまだ作ってないからに決まっている」
「え? 誰が作るんすか? この合宿、マネージャーは泊まりじゃ許可降りなかったんですよね?」
「ああ」
全員の頭の中が真っ白になった。
うぇーい、終わった。
昼も夜も、コンビニかよ。
全員の表情が暗くなった。
みんなそれなりに金持ちなんだよ。
コンビニや外食なんて、全然ありの坊ちゃんたちだ。
けれどコンビニは学校から急勾配を降りた下にしか存在せず、
疲れ切った体には、過酷なんだって。
「ウーバーイーツ頼みてぇ」
これ、見果てぬ夢だからね。
舐めるなよ田舎事情。
ウーバーイーツなんて、走ってねーよ。
せいぜいスカイラークグループか、ピザぐらいしか、宅配システムなんてねーんだよ。
「先輩、これって去年どうしたんすか?」
和木が聞いた。
「一応部費で食材だけは届けられたんで、去年は他部と合同で自炊したんだが」
ふう、とため息をつく。
「OK、じゃあ俺作りますわ。材料あるなら問題ないし」
和木が言った。
「コンビニの行き帰りで30から40分かかるでしょ? それくらいあれば飯も炊けるし、まあ先輩たち風呂でも行ってきてくださいよ」
和木が言った。
このセリフ、ほんとに和木!?
黒田じゃねえ、まじで??
そう言えば黒田は、家のことは美人のアイ姉ちゃんに頼りきっていると言っていた。
ここで能力は発揮できないらしく、
すまないねぇ〜集団に飲み込まれている。
たかが十人程度の夕食。
されど十人程度の夕食だからさ。
食材切るだけでも大変だって知っている。
僕は家事の大変さを知っている。
「和木君、僕も手伝うよ」
本意ではないけれど、僕も食堂に残ることにした。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年9月19日
サブタイトルあたりに、いつ異世界転生するんだ、こら!?
とか入れた方がいいのかな……。
なんだか作者よりもキャラ先行の作品なので、ご容赦ください。