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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
137/144

仲間なんて妄想かもな

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

         ※


 こんな時間だから部屋で寝ているはずなのに。

 2階の居住区の扉をバンと開いた時、僕たちは言葉を失った。


 縛られて、天井から吊るされている店主。

 こういうの、何縛りって言うのか。

 ロープで身体中が固定されて、口にすらロープが咥えさせられている。


「どうしたんですか?」

 店主から必死で助けを求める視線を向けられて、僕は一歩前に踏み出したが、和木がそれを止める。


「罠だ。気付かれた」

 罠って言ってもさ。

 目に涙溜めながら恐怖に顔を引き攣らせて、天井から吊るされてる人、早く降ろしてあげないと。

 僕が手を伸ばそうとするのを、和木が止めていた。


 その瞬間、助けてと声にならない叫びを、目力で訴えていた店主の体が火だるまになる。

 涙を溜めていた目が、炎に包まれて白目を剥き、開き切れないほどの絶叫を、裂けた口が表現する。

 僕は手を虚空に伸ばしたまま、固まっていた。

「あいつは囮だ」

 和木は冷静だった。

 樫木は僕にわからない呪文を口にしている。


 僕には違和感しかない。

 なんでこいつら、目の前で人が燃えているのに、妙に冷静なんだろう。

 僕は、こんなの……。


「完全に読まれてたようやな」

「そうだな」

 樫木が悔しそうに舌打ちして、和木が答える。

「脱出しないと、ここ燃え落ちそうや」

 樫木が僕の手を引こうとする。


 でもあの人、放っておいていいの?

 炎に焼かれて、狂死させていいの?

 僕は背中に背負った消化器を、丸焦げになりそうになる店主に向かって放出していた。

 考えるよりも、それは本能に近い救助活動だ。


「森君、あかんで。そんなことしてる間ないんやわ」

 樫木の焦った声は聞こえている。

 でも、人間の命ってこんなに簡単にに捨てられない。

 僕は逃げようという、仲間の腕を振り払って、消化器を振りかけた。


 その時。

 ズガーン。

 

 この世界も、前の世界でも現実で聞くことはなかった音が、鳴り響いた。


 和木が火だるまになる男に向かって、向けている。

 それは銃口。


 苦しみ悶える火の塊は、一瞬で動かなくなっている。


 和木、それ何?

 それ拳銃?


 どこからそんなの?


 火と煙に囲まれて、遠のきそうになる意識の中で、僕は和木に質問している。


 隠してたのかな?

 その拳銃、今まで隠してたのかな?


 和木に手を引かれて、呉服屋の階段を滑り落ちるように移動しながら、僕は違和感に囚われていた。

 どうして隠していたのかな?

「なんで!?」

 樫木が先頭を走り、和木が僕の手を引いて外に出た時、僕は和木の手を思いっきり振り払った。


「なんで、そんなの持ってるって今まで言わなかった!?」

 僕の背後で、火事になって呉服屋が崩れ落ちる。


 そんな建屋から、着物じゃなくて、僕を全力で連れ出してきてくれたのはわかっている。

 でもなんで、今の今まで、銃なんてモノ持ってるってこと、君は隠していだんだよ!?

「和木君? なんで!?」

 僕は命からがら逃げ出してきた興奮感も冷めていなかったと思う。

 肩で息をしながら、息を整えるようにしながら、和木の着物の端を掴む。


 和木は冷たい顔で僕を見た。

「ーー信用してなかったからだよ」

 僕から眼を離して、和木は抑揚のない声で言った。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年12月3日


今日は組み立て家具に押し潰されて、続きを夜まで書けなかった。

家具っていつの間に、自分で組み立てなきゃならなくなった!?


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