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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
134/144

久々にアニキャラを思い出したり

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

       ※


 アルビノの少年の名前は芝流火というと、神楽坂が言った。

「僕と芝は、最初こちらに流れついた媒介人の先祖を持つ。四代目になる。私の家は元々皇族でね、京都での神事の時に放火事件が起こって、私達の子孫は焼き落ちだ」

 その時、お付きだった芝の先祖は、火の力を持って、この世界に転生したのだと言った。


「その力って、子孫に受け継がれているんですか?」

「受け継がれてるなんてもんじゃないよ……」

 神楽坂は嘆息して、顎をさする。

 長い髪をポニーテールにしての学ラン姿。

 やっぱり見慣れないけれど、彼のビジュアルには妙に似合っている。


「あいつが17歳になった時に、アルビノって言うんだっけ、日本では白雉(はくち/びゃくち)と呼ぶんだけどそれは美しく成長していてね。でもこの倭の国は閉鎖的だから、どっちかっていうとその美しさは見世物みたいになってしまって、生きにくいようだった」

 それで共に勉学を学ぶ友人だった私は、しばらく王宮に彼を住まわせていたことがあった。


「親しくされていたんですね?」

「というほどでもなかったな。こちらは気に掛けていたが、たぶん彼はいつも一人でいることを好んでいた」

「嫌でも目立ってしまっていたから?」

「そうかもしれないね」


 芝は人と違う容姿を気にしていて、呉服屋の染料を作って、自分の髪を染めていたのだと言った。

「普通の人には問題なかったのかもしれないね。でも彼の体にとっては重篤な健康被害、アレルギー反応が起こってしまって、ある時一度呼吸が止まった」

 和木と同じ状態になったってことだ。

「それってーー」

「そうたぶん、この時に彼は媒介人になったんだと思う」


 この国では死んだ人間は土葬するから、葬儀の後埋められようとしているその瞬間だったよ。

 彼は半分埋められた土の中で息を吹き返したんだ、と神楽坂が話した。


「何があったのかいっさい話さなかった」

 民は彼が神隠しにあったのだと噂し始め、そこから芝は年齢を逆行し始めた。

「じゃあ、体は子供、心は大人ってやつだね!?」

 あ、なんか名探偵コナ○君みたいだ。


「王宮を去って彼は父親の元に戻ったんだけど、なんでそんなことにって一度だけ聞いてきた」

 そうしたら彼はこう答えたという。

『いずれ生まれる人を生きて待っているために』


「訳がわからないだろう? でも彼は媒介人になった時から、明らかに人が変わってしまったように思う」

 神楽坂は瞳を伏せた。

 僕はズバリ聞いてみる。

「今回の毒ガスのこと、彼がやったって思いますか?」


 一呼吸して、神楽坂は「おそらくな」と言った。

「だから大惨事にならないうちに、止めてくれて礼を言いたい」

 だから僕たちを呼び出したんだ。

 彼以外、そんな知識を持った人はいないことを知っていて、芝の悪行を止めてくれたことに、この人は感謝している。


「でも、その件だけじゃダメですよね」

 僕はぎゅっと体に力を込めて、神楽坂を凝視した。


「オタクの青春は異世界転生」:2020年12月2日

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