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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
133/144

三人目の権威・神楽坂光輝

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


「私がこの倭の国の王、神楽坂光輝だ」

 鼻筋の通った、ひとえ瞼の日本人らしい容姿の男が現れた。

 身長は日本人の平均。

 えっと前にグーグルで調べたけど170センチ後半ぐらいのちょうど良い背丈。

 清潔なイメージの好青年だ。


 ただ、顔を上げて驚いたのが、見につけている衣装だった。

 なんで学生服なんだろう。

 しかも黒の学ランなんて、いつの時代だよ。


 まぁ僕らもジャージ姿だけど、王様なのに黒の学ラン。

 ってことはやっぱりこの人も、異世界転生組み!?


 僕たちは色々質問したいことがあって、そのソワソワした様子を見たのか、神楽坂は人払いをした。

 そして誰の目と耳も無くなった状態で、神楽坂は僕らの側に近寄ってきた。


「媒介人か?」

 聞かれた言葉に、僕はピンと来なかったのに、「そうだ」と和木が答えた。

「いつ来た?」

「半年も経っていない」


 神楽坂はほう、とうなづいた。

「最近では珍しいことだ。三人ともか?」

「ああ」


 媒介人っているのは、異世界転生してきた人のことなんだろうってのは僕でもわかる。

 でもなんで、媒介人って呼ぶんだろ?


「異文化、つまり向こうのスキルや異文化を媒介する人のことちゃうか?」

 樫木も同じことを疑問に思ったみたいで、確認するように言った。

「そうだ。なぜそう呼ばれるかは、監視者がそう呼んでいるからだ」


 監視者っていったい何?

 ここにきて不明なワードが沢山ある。

「俺は見たよ、監視者」

 ヨースケは言った。


「おお、そうか」

 神楽坂は興奮したようにいう。

「何かお告げは?」

「見ただけだ。捕まるとやばそうだったから逃げたし」


「和木、何を言っとるんや?」

「会話についていけないよ」

 僕と樫木は和木の腕を引っ張った。


「こっちの世界で死んで、黒田に会いに行っただろ? その間に監視者ってのを見たと思う」

 和木は本能的に見つからないように逃げたのだという。

 黒田に会いに行くために。


「では正式なルートで行ったのではないんだな」

 神楽坂はちょっと残念そうだ。

「お告げって、監視者ってなんか伝えてくるの?」

 クエスト的なやつ?


「いや。そんなこと今まで一度でもなかった。俺たちの先祖がこっちに来てから、流れ着いたのは、君たちが初めてだよ」

「こっちに来たのは何年前? 千年前になる」

「西暦何年の日本から来た?」

「1950年、お前たちは?」

「2020年春」


 そうか、と神楽坂は言った。

 向こうとこっちじゃ時空軸もやっぱりズレている。

 向こうが早いのか、それとも点で繋がっているだけなのか、不明なことだらけだ。


「ほんとに生きているうちに媒介人を見るとはな」

 神楽坂は笑った。

 その笑みは少し切なそうだ。


「僕たちは、大体三代目、四代目の世代になる」

「1000年前にこっちに流れ着いて、その世代ってことは、俺達の寿命は大体、300歳から400歳ってところか?」

 冷静に和木が計算している。

「人によるけれど、神ではないけれど神の氏族と共に生きれるほどの寿命といった程度だ。初代の人は300歳前後でほとんどが死んだと聞いている」


 僕たちの寿命、分かっちゃったよ。

 300歳まで生きるとしたら、まだ285年もあるってことだ。

 長っ。


「でも倭の国の人って、神様みたいにいつまでもピチピチでもないみたいだけど」

「意識で老けていくようだ」

 なんとなくこれくらい経ったから、こんな容姿かと想像したところから老化していく者もいれば、神の氏族と同じように死ぬまで若いものもいると言う。

 それから。

「若返った者もいる」


 神楽坂の一言で、僕はハッとした。

「もしかすると、呉服屋の子供!?」

「ああ、あいつは私と同じ300歳を超えている。いったん大人に成長しようとしたが、一度死んで、監視人にあったという。そっからあいつは若返った」

 若返ったって、子供になってるじゃないか。


 変な話を聞いているにもかかわらず、あの子供に限っていえば、中身は大人だと言われた方がしっくりきた。

 呉服屋の旦那との関係性も、親子というより、どちらかというと支配者と使用人で、なんとなくだけれど支配者が子供なんじゃないかと思ってしまう威圧感だった。


 『中に入っていなさい』

 子供に指示を出す言葉にしては、その声色に恐怖が見えて、変な違和感があったんだ。

 これで黒幕は確定だ。


「あの、アルビノの……、呉服屋の子供のこと、もっと教えてもらえませんか?」

 僕は言った。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年12月1日

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