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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
130/144

不思議ちゃん

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

       ※


 僕は和木が完全に回復するまで作戦を練った。

 子供が首謀者とは思えないから、呉服屋の親が黒幕なのだろうか。


 僕と和木は顔が割れているから、樫木に偵察に行ってもらった。

 その間に僕は防塵マスクを量産する。


「子供がアルビノって以外は特に普通の呉服屋みたいだけどね」

 近所の聞き込みを終えてきた樫木は、僕と和木の部屋に入ってきて言った。

「古くからある老舗らしい。この倭の国自体、800年くらい前に国として認められて、そのときの設立メンバーが呉服屋の旦那の曽祖父になるんだって」


「曽祖父ってことは爺さんの父さんってことだよね?」

 やっぱりこの国の人も寿命が長い。


「あとこの国に伝わる染料の技術は、森君の予想通りあの呉服屋が発祥らしい。あの子供はまだ10歳で、

成人もしていなかったよ」

 そうか、たった10歳なんだ。

 だったらやっぱり子供だけの犯行なんてないよなぁ。


「でも、あの子供に関する情報はすごく少ないんや。やっぱり容姿があんな感じだから、親も滅多に外に出さないみたいで、近所の人もあんまり目にすることがないんやって」

 僕たちが店に行った時も、父親が子供を奥に隠したがっているように見えた。

 主犯は父親なんだろうか。


「樫木くんの対魔法って、火を付けたり消したりできるの? どんなものなの?」

 僕には全然見えないから、口で説明してほしい、と頼んでみた。


「そんな便利なチャッカマンとは違うで。そんなことできたら、キャンプ生活の時もなんも火起こすんに手間掛からんかったやろし」

「そうか」

 僕は確かにと納得する。


「例えるなら、火種があったとしたらそれを一時的に大きくしたり、小さくしたりはできるけど、それも森君が見えている自然な程度や」

 じゃあ、呪術で戦う意味がわからない。


「対魔法は、除去じゃなくてあくまで捕縛なんよ。魔物がいたら、その動きを囲って止めてしまう。護符貼ってるイメージが正しいかな」

「じゃあ閉じ込める、壺みたいなのいるの?」

 そういえばこの前は、厚手の皮の袋に入れてたな。


「入れ物は重要じゃない。自分の力より相手の力が弱ければ、自分の中に封じ込められるんだ。入れ物で捕まえているのは、イメージを具現化するためにやってるだけやし、護符だって紙に書いて実際に貼らなくたって、用意できるんや」

「なんで具現化、必要なの?」

 樫木はちょっと考える。


「たぶん向こうの世界じゃ、みんなが森君みたいに見えないことが当たり前だっただろ? だから呪術は無効になりやすかった。でもこっちの人は見えるのが当たり前だから、この世界じゃ具現化がそんなに重要じゃないのかも」

 それで言うと、和木に見えることの方が不思議なんじゃないの?

 僕はじっと和木を見つめた。


「あ?」

 和木は察したように答えてくれた。

「なんで俺に見えるかだろ? あっちの世界から見えてたからじゃない」

 精度は上がっているけどね、と笑った。


 そういえばオーラの色がとか不思議ちゃんだったよな、こいつ。

 僕はなんとなく納得した。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月30日

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