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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
125/144

和木再び

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

                ※


 ルールは一緒だ、1ゴール1ポイント。

 先に5点入れたら勝ち。


 でもさっきのワンオーワンと違って、今回は一対三なんだ。

 圧倒的にコウが不利。


 またコウはディフェンスから開始することになった。

 三人はボールをパスしながら、コウを弄んでいるように見える。

 さすがに、これじゃ勝ち目ないよ。

 アイはスポーツタオルを膝の上でぎゅっと握った。


 相手はすぐにワンゴールを決めてしまった。

 次はコウが攻める番。

 うまくディフェンスとのズレを作り出して、コウはなんとか一点を決めた。

 ファーストポイントは引き分けだ。


 山梨第一の攻撃、パスを繋いで、すぐにセンターまでボールが運ばれてしまう。

 コウはブロックしたけれど届かなかった。


 コウの身長が伸びたと言っても、まだ180センチまではいっっていない。

 和木とか森なら、きっとこのセンターを止めてくれたのに。

 アイは奥歯を噛み締めながら、そう思った。


 未来にこの世界の未来の記憶を持っていってほしい。

 コウの気持ちは痛いほど、よくわかる。

 でもここに、あんたのチームメイト、もう誰もいないんだけど。

 そんな状態で、一対三とか無謀だよ。


 次のコウの攻撃、水城にボールを奪われた。

 センターにパスを回されて、ゴールを決められる。

 一点を先取され、次も山梨第一の攻撃が決まる。

 あっという間に得点は、3点対1点。


 絶体絶命だと思ったその時、

 体育館扉の外から、長身の男が入ってきて、アイの横を通り過ぎた。


 コウと同じユニフォームを着て、コートの中に入っていく。

 長身で肩の上まで伸びた長い髪の毛、真っ直ぐに伸びた手足。


 圧倒的な存在感だった。

「タイムーー!! タイム、タイムタイム!!」

 アイは叫んだ。


 和木洋介だった。

 自分を鬱陶しそうに睨んでくる、お世辞にも感じがいい男とは言えない、身長190センチほどある大きな男。

 死んだはずの彼を見てしまったアイは、叫ばずにはいられなかった。


「相変わらず、バスケしてるんだ」

 コウは一瞬息を飲んで、目を見開いている。

 それでも同じユニフォーム姿で立っている和木を見て軽く笑った。

「おまえもやる?」

「いいよ。おまえがバスケするならやってやるよ」

 コウが右手を肩の高さに上げると、和木がその横を通り過ぎるように左手でタッチした。


「やるなら勝つよなぁ?」

 和木が煽るように言って、打ちのめされそうになっていたコウの熱量が上がる。

 当然だ、と言わんばかりに闘志を燃やす目つきに変わる。


「司令塔、で、どうよ?」

「軽いな」

 それからは一気に形勢逆転した。


 和木は頭脳プレーヤーだ。

 見事にパスを回すタイミングをズラして、相手チームのペースを崩しまくっているように見えた。


 結果は5対3で、コウ達の勝利。

「ありがとうございました!」

 大きな声でコウは頭を下げて、相手チームに礼を言った。

 何か吹っ切れたような顔をしている。


 アイは感動してコウの側に駆け寄った。

「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月26日



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