人工知能のAI(アイ)様の言う通り
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
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「うわっ!」
隣で眠っていたコウが飛び起きたので、アイも驚いて目を覚ました。
コウは半身を起こして、汗びっしょりで荒い息を繰り返す。
山梨県甲府駅近くにあるビジネスホテルに、昨夜一泊した。
お世辞にもベットの寝心地は良くはなかったけど、疲れていたのでアイはぐっすり寝ることができたのだが、こうは違うのか?
「悪い夢でも見た?」
こんな飛び起き方は尋常じゃない。
自己のショックでPTSDでも引き起こしているのかと心配になった。
「姉ちゃんか……。ああ」
自分の顔を見て、辺りを見渡して、自分がどこに来ていたのかを確認したように、コウは吐息をついた。
「夢に和木が出てきた。変な夢だった。和木も、樫木も、利刀くんも一緒だった。昔の日本みたいなところで、ちゃんと生きてた」
「いい夢ってこと?」
それにしては飛び起き方、激しかったけど。
顔色も良くないけど。
アイは首を傾げた。
「和木に呼ばれたんだ。和木、なんか病気で苦しんでて、側に行って今まで手を握ってた。樫木や利刀君が、必死で助けようとしてるんだけど、困ってて」
なんか疫病なのかもしれないと騒いでいたらしい。
わからん……。
森利刀は科学好きだ。アイが彼の部屋を見渡して入力したデータは、科学の知識ばかりだった。
わかるのは、和木が病気で、何か困っているということだけだ。
「ねぇ姉ちゃん。あいつらどうなるんだろ? 和木助けられない?」
う~ん。
アイは唸った。
「コウ、あんたがインハイで戦うはずだった相手と対戦したいのは、未来の可能性にかけたんだよね?」
アイは確認した。
だったら、未来に森が興味持つだろうことを予測して、データを更新してもいいのかな?
きっと未来の森なら、化学薬品なんかにも興味を持つだろう。
でも病気で困ってるんなら、医療の知識や薬品の知識、あって困るもんでもない。
和木は薬草なんかにも興味があったけれど、今の状態じゃ和木にデータを入れることできないし。
森利刀、ーーあんたならなんとか突破口を見つけてくれるかな?
ここから入力するのは、未来の可能性だった。
もし森がこっちの世界でそのまま生活していたら、勉強しただろう知識を人工知能で割り出して、可能性の高いものをデータに入れていくのだ。
和木がコウの夢に出てきたってことは、和木はあまりいい状態じゃない。
こっちの世界と再び意識が繋がるなんて、向こうの世界にとったら致命的なんじゃないだろうか?
急いでいる。
「よし! 未来を予測しよう」
アイは言った。
アイは人工知能で、森の興味が向けられるだろう可能性をヒットさせる。
そしてAmazonの電子データで何十冊かの本を購入した。
専門分野じゃないから、アイには全然わからないので、人工知能のAI様の言う通りに選出した。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月24日