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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
116/144

隔離するよ

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


 旅人が疫病を媒介する。

 人の歴史を見たときに、人の流れが疫病を運び、人はそれと戦ってきた。


 今の状況だと、旅人は僕達で、和木の病気のことを倭の国の人に公開しなければならない。


 ーーでも。

 現代社会でも、致死に至る病気を感染させた場合、人は病気を持込んだ人を責めている。


 たとえ表面上では、仕方がないことだ。

 差別はやめようなんて正義感を口にしても。

 いざ自分が感染したら?

 いざ自分の大切な人たちがそれで命を落としたら?


 責められるのは、そいつを持込んできた人になる。

 まして国が違えば、他国の責任にして、相手の国ごと当事者を追い詰めていく。


 それじゃ、異世界ではどうなるんだ?

 旅人は僕達で、僕達は神の氏族からこの倭の国に来た。

 そして和木が、何らかの病気を発症している。


 そしてもし、この状態を倭の国の民に言ってしまったら。

 どうなる!?


 頭を働かせろ、僕!

 すごく大事な決断をしなければならない。

 倭の国の医者を呼んだけど、それで正解だったのかな?


 ここが日本だったら、すぐ救急指定病院に電話するんだけど、そんなことできないし。

 この国で、和木の病気を公開しちゃって、大丈夫なんだろうか?


 とりあえず、僕と和木以外の人の出入りを完全に遮断する。

 感染症でなければ、セーフなんだ。

 感染症だったとしても、僕と和木でストップすれば、これ以上拡散することはない。


 そしてこの病気が何なのか、見定めんだ。


「和木君、しんどいと思うけどいくつか質問させて。いつから調子が悪かった? 症状はどんな感じ? 気がついたこと何でも言って。書き留めて病気を特定する」


 それを医者に伝えて、この国でよいある病気なのかどうか、

 治療法があるのかどうか、

 ちゃんと確かめないといけなかった。


「微熱は続いてた?」

「いや……」

「症状が出たのは?」

「昨夜食事のあと」

「リンパは?」

「……腫れてる。インフルの時みたいに体の節が痛む……」

 和木は僕の決意に気がついたのか、苦しそうに息をしながら、しっかり答えた。


 意識混濁はしていないようだ。

 汗がすごいから、着替えさせよう。

 それから。

「和木君、発疹が広がってる。どれくらいなのか見るから、着替えてもらうよ」

「いらん。おまえも離れてた方がいい」


 僕は呆れたようにため息をついて、和木の服を剥ぎ取っていった。

 発疹が出ているのは首と顔、それから腕と、背中に少しだ。

 抵抗しようとする和木は、いつもの勢いがない。

 熱で弱っているので扱いやすかった。


「チーム異世界転生は……どうした!? おまえにうつったら、困る。全滅は、絶対阻止だろ?」

「樫木君を残してる。それから和木君、僕が今の症状だけ見て、僕が思いつく病気って、風疹とハシカなんだ。それだったら僕はもう抗体があるからうつらない。心配しないで」


 風疹やハシカだったとしたら、僕は平気だ。

 子供の時にかかったことがある病気だ。


「でもこの世界の人にとってはどうなのか、わからないから、しばらくここに隔離するからね」

「……ああ」

「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月23日

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