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オタクの青春は異世界転生  作者: 一桃 亜季
114/144

科学と良心

気ままに投稿しています。

お付き合いよろしくお願いします。



       ※


 宿屋のご飯は懐かしいテイストだった。

 ご飯に味噌汁、焼き魚、煮物、葉物。

 一汁は汁物を1品、三菜は料理を3品、見事な一汁三菜という献立だった。


「久しぶりの和食やないかい。なんか旅行に来たみたいやな」

 ヒノキ風呂に入って温まり、お膳に食事が並ぶと、僕たちは感動した。

 本当に日本に戻ってきたみたいだった。

 和木なんかは、「ここに住みたいな」と移住願望をもらしている。


 一番元気がないのは僕だった。

 だって本当に、背筋が凍るような気持ちになったのだ。

 今でもなんだか自分の身体に白蛇がまとわりついているような錯覚すら覚えてしまう。


「森君どないしたん? 食欲ないん?」

「住所不定の時、川魚は嫌というほど食べたからな。嫌いになったのか?」

「そんなんじゃないよ」


 湯気が立ち上がる御ひつに入った熱々のご飯は、十分食欲をそそってくるのだが、あの少年のことが頭にこびりついて離れない。


「この時代ってさ、化学なんて発展していないだろ? だから僕たちの知識は、この世界にとってとっても便利にすることもできるけれど、危険になることもあると思う」

 僕はひっかかっていることを仲間に話した。


「そりゃそうだよな。要は特殊なスキルってことだよな」

「うんじゃあ、その線引きってどこでされると思う」

 僕は質問したけれど、その答えはわかっている。

 人の良心だ。


 もし人間の良い人が科学の知識を使えば、人類は進歩する。

 でも進歩した末に、争いごとが起きて、極めつけは核爆弾なんてものをミサイルで飛ばせるようになってしまった。


 悪意のある人が、この世界に科学の知識を持って存在したら?

 そう思うとすごく怖くなったんだ。

 たった一人の、年齢だって6,7歳の少年に出会ったから。


 僕は早々に食事を終えて、考えを巡らせえる。

 火の低級精霊は、僕にとっては、ただのガスだった。

 僕があと一つ、戦いに準備できるものを思いついた。


 それは防護マスク。

 ガスや毒を吸っても正気を保っていられるもの、それが大事だ。

 僕は馬車の屋根として張ってある、なめした皮を引きはがした。

 徹夜になっても、今日中に完成させたかった。


「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月20日

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