ドナドナドナ〜ドナ〜♪
気ままに、気楽に投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
※
僕達のパーティは、和木が剣士、樫木が魔術師、リオナがヒーラー、僕は科学者もどき。
なんか僕だけ異世界感はないけれど、消火器を完成させてそれを背中に背負ったら、僕もゴーストバスターっぽく装備できた。
今回のクエストは首都パラサンを西に300キロ行ったところだから、たぶん日帰りは難しいかった。
リーインリーズ伯爵から直接の依頼だから、僕達は調理場に立てなくなっても、心置きなく出立できた。
「気をつけて行ってきてくれ。おまえらがいなくなったら食が貧しくなる」
リーインリーズは少しだけ名残惜しそうに目を細める。
そんな死にに行く者を見送るような台詞と眼差し向けてくるのはやめてほしい。
リーインリーズが馬車を用意してくれたので、僕達はそれに乗り込んだ。
操縦席っていうのかな、そこに一人が座る形で、僕達は荷台のようなところに乗った。
なめした皮を天井に貼って、荷台には屋根がある。
「行ってきます!」
馬車はリオナが引いてくれたので、僕達三人は荷台の中からリーインリーズに手を振った。
ドナドナドナ〜ドナ〜♪
なんだか過去にこうやって馬車で売られていく番組を見たけど、そんな気分だった。
離れようとすると、結構リーインリーズの館が第二のホームになっていたこと気がつく。
僕達はクエストに向けて旅立った。
馬車と言って車輪が木でできているので、お世辞にも乗り心地がいいとは言えなかった。
貴族御用達の馬車を貸そうと行ってくれたけれど、目立つからと和木が断ったのだ。
確かに一族の外に出ると物騒で、いつ追い剥ぎに遭わないともしれないので、賢明な判断である。
ただ、尻が痛い!!
やっぱ早急にゴム製品作るべきだよな、僕らは馬車の中で何度も体を弾ませながら、尻の下に布を引いた。
魔物が住まうという村は、倭の国と言うらしい。
リーインリーズは最初その「倭の国」から自分たちが来たのかと思っていたというくらい、僕達に似た容姿のものが多いと言った。
つまり、黒髪、黒い瞳、黄色の肌、顔平たい、ってのが多いのだろうか?
想像すると、日本人の特徴ってあんまり美しくはないよな。
和木だけだな。こっちのビジュアルでも通用するのって、と僕は樫木を見てため息をついた。
樫木ももっと色白で長身だったら、陰陽師みたいな格好も似合ってたかもしれないのに。
うーん、残念。
「森くん、なんかこっち見て明らかにため息つくのやめてもらえる? 縁起悪いわ」
「あ、ごめんごめん。森くんは平均的だよ」
悪気なくそう言ったのに、横から和木につねられた。
最近の僕、結構和木に体罰を受けているような。
次第にうまくコントロールされてきているなぁ。
僕は、あはははと笑った。
「オタクの青春は異世界転生」:2020年11月19日