序章
気分転換に、気ままに投稿しようと思います。
文章量をぐっと減らして、一人称で、エッセイのようなノリで続けていきます。
お付き合いよろしくお願いします。
「偽りの神々シリーズ」とは、リンクする部分もありますが、あくまで別で書き進めます。
学校へ行きたくない。
いわゆる、ひきこもりってやつになって半年――。
学校という狭い世界の中の人間関係が、僕は苦手だ。
友達がいないわけではなかったけれど、集団になったとき、居場所を探せずにオロオロした。
いろんな人間がいて、いろんなことをしゃべっている声は、ひどいノイズの混じった雑音。
そんなの器用に聞き分けられない。
あいつがこうで、こいつがああで。
僕は、わからない。
人のことなんて、何もわからない。
いったいどの立場に身を置いたらいいのかわからなかった。
※
中学の時は科学部。
人づきあいが苦手な科学バカ。
ついたあだ名は、眼鏡。
あだ名さえ、ベタで冴えない。
全国に眼鏡というあだ名をつけられた諸君も思うだろう。
もうちょっと気の利いたあだ名にしてくれ。
僕は変わりたかった。
アニメや漫画の主人公は、最初は頼りなくたって成長して、だんだんとカッコよくなっていく。
好きなアニメは、バスケットもので、○○ダングも、○○のバスケも、○○の空も、オンライン配信の視聴回数を一人で一桁あげるぐらい見た。
僕の長所は、ひょろっと伸びたこの身長ぐらいだったから、ひょっとしてバスケなら活躍できる場所があるのではないか、と希望を持った。
だから僕は、高校に入って、勇気を出してバスケ部に入った。
入部届を出すってだけで、僕は心臓麻痺で何回死ぬのかと思った。
そこら辺から飛び降りるような気持ちで決意したんだ。
けれど僕みたいなやつが、妙に前向きになったのが、そもそもの失敗だと、気づくのも早かった。
すぐに奈落の底に落ちたよ。
世の中そんな甘くない。
バスケ部のエース、スモールフォワード(SF)の黒田コウ、チームの司令塔ポイントガード(PG)の和木ヨースケ。
彼らと出会ったのは、高校1年生の春だった。
二人はリア充女子から、常にキャーキャー黄色い歓声を浴び続け、動いても止まっても、とにかく目立っていた。
彼らと僕とは人種が違う。
なんで同じ時期に入部してしまったのか。
無茶苦茶コンプレックス刺激してくる。
「おい眼鏡、名前はなんていう?」
和木ヨースケが人気のあるやつ独特の傲慢さで話しかけてきた。
「森リトウ」
小さい声で呟いた。
「リトー? 珍しい名前だな。漢字は?」
「……足利家の、利。トウは刀で、利刀」
足利儀輝のファンだという母に名付けられた。
母は戦国武将が出てくる刀主役のゲームにはまっている。
好きなゲームと子供の名前をからめるなよな。
名前が珍しいから、こうやって何度も説明させられてるんだよ、こっちは。
「へぇ。言い名じゃん」
和木が言った。
初めて褒められたけどさ、僕は全然嬉しくなかったよ。
「オタクの青春は異世界転生」
序章:2020年9月3日