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奇談散歩【59】 鍛冶が嬶

 鍛冶が嬶、鍛冶が媼(かじがかか、かじがばば)は、高知県室戸市の「梯子狼」伝説。


【 鍛冶が嬶・あらすじ 】

 奈半利(現在の安芸郡奈半利町)へ向う山道、

 日も暮れかかり、ある女が旅路を急いでいた。

 女は身籠っており峠の途中で陣痛が起こって、身動きが取れなくなった。

 折悪しく、そこに狼が現れ、万事休すのその時、通りかかった飛脚に助けられ、二人は峠の大木へ登って難を免れた。

 獲物を諦めきれない狼の群れは肩車を組んで梯子をつくり、二人に迫って喰いつこうとしたが、飛脚も短刀で応じ、狼の牙は届かない。

 業を煮やした狼たちは口々に「佐喜浜の鍛冶が嬶を呼べ」と吠えた。

 暫くすると、鍋をかぶった白毛の大狼が現れ、狼梯子のてっぺんから飛脚に向かって飛び掛かった。「南無三」と、飛脚が渾身の力で短刀を振り下ろすと、鍋が割れ、恐ろし気な悲鳴が響き、白狼も狼の群れも消え失せた。


 夜が明けたので、二人は木から降り、峠を往来する人に女の世話をお願いして、飛脚は血の痕を辿って佐喜浜へ向かった。

 飛脚は佐喜浜の鍛冶屋を訪ね「この屋に嬶はいないか」と家人に問うと、

 嬶は、昨夜 転んで頭を負傷し寝込んでいるという。それを聞いた飛脚は鍛冶屋に入り、嬶が寝ていた布団に短刀を突き立てた。布団を捲ると嬶の姿は無く、白毛の大狼の(むくろ)があった。  

 家の床下からはおびただしい人骨、そして本物の嬶の骨が出てきたという。



 佐喜浜には今も「鍛冶が嬶」の供養塔が残っている。

 また佐喜浜を訪れた郷土史家・寺石正路氏によれば、明治には「鍛冶が嬶」の墓石もあったとのこと、鍛冶屋の子孫といわれる人々には必ず白い逆毛が生えていたという。





 土佐国野根とさのくにのねと云処に鍛冶屋ありしが、女房を狼の食殺し のり移りて、飛石といふ所にて人をとりくらひしといふ。

『繪本百物語』−桃山人夜話−


 江戸時代の奇談集『絵本百物語』では、「狼に食い殺された女の霊が狼にとり憑き、群れを率いて人を襲うようになった」と、されており ( 絵本百物語 # 巻第五 )、千疋狼のような特徴は無いが、挿絵では狼の群れが大木に向かって梯子状に肩車を組む姿が描かれている。




  

 読者諸兄におかれましては、

 このような拙文を御高覧頂き、

 まことに、

 まことに、

 ありがとうございました。

 これにて九十九話、語り仕舞い、

 百話は水火既済。

 奇談、怪談は人の世のある限り、

 九十九話の火水未済、


『小耳袋』は九十九話で閉じられますが、

『小耳袋.其之二』に続くので、

 今後も何卒御贔屓のほどを、






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