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 奇談散歩【54】 猫山の話 山口県

【 猫山の話・あらすじ 】


 昔々、周防の国。

 とある お屋敷で年季奉公している「お梅」という気立ての良い娘がおりました。

 お梅は「鈴」という猫を、たいそう可愛がっておりました。

 しかし、ある日突然「鈴」が姿を消し、お梅は方々(ほうぼう)探しましたが、ついに見つかりませんでした。

 その後、旅の御坊様から「九州はいなばの猫山に国中の猫が集うそうな」と噂話を聞き、「そこに鈴がいるかもしれない」と、お梅は お屋敷から暇を貰うと猫山に旅立ちました。

 お梅は幾日も旅を続け、ようよう猫山にたどり着き、山中で行き暮れて、ある屋敷に一晩泊めてもらうこととなりました。

 その夜遅く、お梅の通された部屋の隣から、ひそひそと話し声がします。

 お梅がそっと覗くと、人の姿をした化け猫達がお梅を喰う相談をしていました。


 「これは恐ろしい場所に来てしまった」と、お梅が震えていると、一匹の化け猫が部屋に入ってきました。その化け猫は「ここは国中の年取った猫が集う場所で、人の来る所ではありません、すぐに逃げてください」と言い、もし他の化け猫に襲われたらこれを見せなさいと言って、包みをお梅に渡しました。この化け猫はあの懐かしい「鈴」でした。


 鈴と懐かしさを分かち合う間もなく、お梅は屋敷から逃げ出しますが、屋敷の門には、お梅が逃げ出したことに気が付いた化け猫達が待ち伏せをしていました。

 お梅が震えながらも鈴がくれた包みをかざすと、化け猫達は慌てて屋敷へ逃げ込み、お梅は屋敷の外に出ることができました。ほっとしたお梅が、つと振り返ると、門の上から鈴がお梅を見送っていました。


 無事、周防の国に戻り、包みを開けると、そこには猛々しい大犬が小判を十枚咥えている絵が描かれていました。驚くお梅の手に絵の小判が落ちかかり、お梅はこの小判 で年季奉公も開け、国元に帰り両親と幸せに暮らしたということです。



 第87話 奇談散歩【48】 ねこ岳の怪 と、よく似た民話で、この物話には「人を喰う化け猫」と「恩に報いて福をもたらす招き猫」の二者が登場し「猫」の持つ両義性を表している報恩譚ですね。

 このお話も「まんが日本昔ばなし」でアニメ化されています。


…… で、

 私の祖母は、寺から大工の祖父の元に嫁に来た人で、

 遊びに行くと、おはなしを聞かせてくれたんですが、

 その中に「猫山」に似たものがあって、


『昔々、祖母が子供だった頃、

 寺に旅のお坊さんが宿泊することが度々あり、

 ある日、旅のお坊さんが訪ねてきたので、

 祖母が足を洗う桶を持っていくと、

 お坊さんの脛には人のものでない「毛」がみっしりと生えていた。

 祖母が吃驚していると、

 そのお坊さんが、この足は… と話しはじめた。

 

 お坊さんが旅の途中、

 木曽の御岳山で日が暮れて、

 山中の屋敷に泊めてもらうこととなった。

 屋敷の女中さんに部屋に通され、

 お風呂をどうぞと勧められた。

 湯船に浸かっていると、

 いきなり風呂桶の底が抜けた、

 浴槽のヘリをつかんで必死で落ちないようにしたが、

 何者かが足をつかんで引きずり込もうとする。

 下に目をやると風呂の下には多くの亡者が蠢き、

 足をつかんで引っ張っている。

 もはやこれまでかと観念したが、

 浴室の窓に白いものがいる。

 それは昔可愛がっていた白猫で、

「お助け致しましょう」

 と言うや、引き上げてくれた。

 お坊さんは、その白猫の案内で無事屋敷から逃げ出し、

 下山することが出来たが、

 亡者に掴まれた足には人のものではない毛が生えてきて、

 今も治っていない』


 という話で、

 当時 4~5歳の私には、この話がとても恐ろしく、

 お風呂に入るたびに底が抜けたらどうしよう、

 と、思ってヘリを掴んでいました。


 今思うと、民話「猫山」の変形で、

 ばあちゃん … 他の話も交じってない? 

 と思うんですが ……


 

 夏だ、山だ、妖怪だ、

 ということで「山に棲む “ 猫又 ”」を調べたら出るわ出るわ …

 各地の山に “ 猫又 ” さんが御在住で退治されたり、神様に祀られたりしていて、

 特に修行場として有名なのが九州のねこ岳と木曽の御岳山ですね。

 … んで

 youtubeに沢山「山怪」怪談が纏められているのですが、

 気になるのが「山でクロヒョウを見た」「虎を見た」などの目撃談。

 日本の山にいるはずのない猛獣が、という奇談。

 これ「猫王」さん なのでは ……

 王も、最近は家飼いの猫がふえて「修行に来る若い衆が減ったのう」

 とか、ちょっと寂しく思っているかもしれません。

 



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