奇談散歩【50】 猫又駅(ねこまたえき)
猫又駅は、富山県黒部市宇奈月町舟見明日音澤にある、黒部峡谷鉄道本線の駅。
この黒部峡谷鉄道は自動車では入れない北アルプス・立山連峰奥へ、峡谷沿いに分け入って行くトロッコ電車で、シーズンには多くの鉄道ファン・観光客で賑わう。
難工事で有名な黒部ダムなど、黒部川開発に伴い敷設されたもので、昭和初期には資材運搬に運用され、その後、観光鉄道として旅客営業を行うようになり、全国的に有名となった。
この黒部峡谷鉄道に「猫又」という珍しい名前の駅がある。
猫又駅は関西電力黒部川第二発電所の近くにあり、保守作業員専用の駅で、一般客の乗降はできない ( 通常、区間運行で当駅折り返しとなる列車であっても一般客は下車できず、同じ列車でそのまま折り返しとなる ) 。
しかし、2024年の能登半島地震により、この駅より先の鐘釣橋が破損、2024年10月より鐘釣橋復旧まで猫又駅での折り返し運転となった。この折り返し運転に伴い、鐘釣橋復旧までの期間、トイレ休憩として一般客の乗降が可能となり、現在、高さ3.6 mの展望台、フォトスポットなどが整備されている。
駅名にもなっている「猫又」という地名の由来はいくつか伝わっており、
ひとつは、この近くにある「ねずみ返しの岩壁」という大絶壁に由来する話で、追われて逃げてきた鼠が、この絶壁を登攀できずに引き返し、追ってきた猫もあきらめて引き返した。「猫もまた引き返した」ということで、「猫又」という地名がついたという。この「ねずみ返しの岩壁」は、トロッコ電車の見どころの一つになっている。
そして、もう一つの由来は前回ご紹介した「猫又山」の怪猫譚、富士権現に追放されて猫又山に流れ着いた「猫又」の伝説である。
猫又駅は二つの猫又山の間に位置し ( 北東数キロ、白馬岳との中間に猫又山があり、その尾根に「猫の踊り場」がある。そして、南西数キロ、立山連峰の北側に もうひとつの猫又山がある ) 南西の猫又山近くには「大猫山」「猫又谷」と猫又に由来する地名が多い。南西の猫又山や大猫山には、北東の猫又とは別の大猫がいて、付近の人々はこれを非常に恐れていたと伝わる。




