第88話 奇談散歩【49】 猫又山 ( ねこまたやま )
黒部峡谷には巨大な猫又が棲む ――
標高 2,378.16 m
所在地 富山県魚津市、黒部市、中新川郡上市町
位置 北緯36度40分52秒 東経137度35分25秒
山系 飛騨山脈(立山連峰)
≪「にいかわのむかしばなし」(柴垣光郎著)によれば、昔、猫又(妖怪)が黒部の山の中に追われ逃げてきて、この山に住み付き、たくさんの猫が集まって鳴き声が聞こえるなどの怪異があったのが由来という。また、「続 日本の地名」(谷川健一著)によれば、「たんなる伝承ではなく、実在の大猫がいて、人をしばしば襲うことがあったから」としている。これは、黒部川のほうに山を降りると別の猫又(黒部峡谷鉄道の駅がある)の地名と猫又谷があることと呼応する。―― Wikipedia「毛勝三山」より ≫
【 黒部峡谷の猫又伝説 】
『昔々、富士権現に眷属として仕えていた「猫又」がいた。この猫又は、源頼朝が富士山で巻き狩りをしたとき、他の獣とともに狩り出され、追い詰められて軍兵を食い殺してしまった。
これを知った富士権現は「血の穢れがあっては神に仕えることはできぬ」と、猫又を追放し、富士に住めなくなった猫又は、住処を求めて黒部峡谷にたどり着いた。しかし、黒部でも麓の村々を襲ったため、村人は「おそれながら…」と代官所に猫又退治を願い出た。代官は猫又退治に多くの狩人と勢子(巻狩の追い立て役)を集め、大掛かりな巻狩りを行ったが、狩人たちは巨大な猫又の恐ろしい様子に立ち竦み、その隙をついて猫又は何処ともなく姿を消した。』
剱・立山連峰主稜線の北に位置する猫又山は、毛勝山、釜谷山と合わせて毛勝三山と呼ばれる。
この毛勝三山は富山県魚津市と黒部市の間にある山岳群で、飛騨山脈立山連峰の北に連なり、片貝川の実質的な源流の山岳。付近には「大猫山」「猫又谷」と猫に由来する地名が多い。
また、猫又山の尾根には「猫の踊り場」と呼ばれる場所があり、ここには「月夜の晩に、多くの猫が集い来て、一晩中 踊りを踊る」という伝承がある。
伝説の「猫又」はこの山々を縦横無尽に駆け巡っていたのだろう、
神の眷属から零落した猫又は何を思っていたのだろうと、ふと思う。




