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第86話 猫の一生に一度


 ぬこは一生に一度だけ人語を話すという。

 大概とても重要で意味深なことを言うらしい。

 昔話では浄瑠璃を語ったとか、事故を予言したとか ……


 ある日家族でオムライスを囲んでいた。

「ケチャップ足りない。ちょっとケチャップとって ―」

「ねえねえ、くり (ぬこ)、ケチャップ貰ってきて」

 くりはじっと聴いていたがおもむろに立ち上がり台所に行くと

「けにゃっぷ!!」と鳴いた。

 家族全員びっくりしたが、しかしこれが一生に一度だけ話す人語かと思うと何だかとても悲しかった。


 ―― これは、有名なコピペで、よく目にするのですが、

 初出が「洒落怖」なのか「旧Twitter」なのか、はたまた ……

 調べたのですが、あちこちに転載されていて判然としません。

 「一生に一度」なのは、前回の『妖猫 友をいざなう』や他の怪猫譚のように「喋れる」ことが人に知られると、猫が人前から消えてしまうから、なのでしょうか ……



 この4月には「Ⅹ」で『猫は人間の言葉がわかる』というエピソードが盛り上がり、多くの猫さまの賢い逸話が投稿されていました。


 ――で、

 我が家は「秘密結社NNN(ネコ・ネコ・ネットワーク)」の派遣が絶えない家で、いつも猫さまが御在住のカツヲブシ臭い家だったんです。

 性格は一匹一匹ずいぶん違いましたが、どの猫さまも賢かったです ( 同居人の欲目かもしれませんが )。

 んで、私が「○○はもう尻尾が二股なのでは…」と思っていた猫さまの逸話ですが …

実家が建て替えたときの事、猫さまは新築の壁で爪を研いでは人間に悲鳴を上げさせておいででした。

 さすがにこれは由々しき事態でしたので、

 ある日、猫さまに、

「○○さん、ちょっとお話があります」

「いいですか、このお家は建て替えたばかりでローンもたくさん残っています。このまま○○さんが壁や柱で爪を研ぎ続けたら、お母さんが○○さんを捨ててしまいます。いくら私が庇っても “ ○○を捨てないで ” と頼んでも無理です、壁で爪を研ぐのはやめましょう」

「代わりに、爪とぎの設置台数を増やして、マタタビをつけます。わかりましたか?」

 と、説得しました。

 一部始終を聞いて母は笑い転げておりましたが、この説得の後、○○が壁や柱で爪を研ぐことは無くなり、それは○○が虹の橋を渡るまで続きました。


 あ、報酬の「マタタビ」はちゃんと毎月支給してました。

 忘れていると督促されるんで …





 多分あいつ、喋れたんだろうな、

 賢いくせに、おっちょこちょいで、性格悪くて、太ましい

 猫らしい猫だった。

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