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奇談散歩【37】 宗像淵の鯉


 江戸の昔、


 宗形神社の下流には宗像淵という淵があり、たくさんの魚が住んでいました。

 田植え が済んだ ある時、若い衆が集まって、

「明日は暑気払いに宗像淵に毒を流して漁をしよう」

 という話がまとまりました。

 その夜、毒流しを提案した若者の家に廻国巡礼の老僧が訪れ、一夜の宿を乞うたので、若者は僧侶を泊め、晩飯に麦飯を出して持て成しました。

 僧侶は麦飯を拝んで食べながら、

「道中、小耳にはさみましたが、明日の毒流しの話は本当ですかな?」

 と、聞きました。

 若者が「本当だ」と答えると、

 僧は居住まいを正し、懇々と毒を流して無益な殺生をすることの非を説いて聞かせました。

 しかし、若者は「もう皆で決めたことだ」と そっけない返事をして僧侶の話に耳を傾けようとはしませんでした。


 次の日、若者が起きるころには僧侶は出立しており、

 若者たちは予定通り淵に毒を流して漁をしました。

 皆が大漁に満足して帰りかけた時、

 淵の底から見たこともない大鯉が浮かび上がりました。

「淵の主に違いない」

 と、若者たちは大鯉を引き揚げ、村に帰りました。

 村に帰った若者たちは、祝宴の料理に取り掛かり、

 大鯉の腹を裂いてみたところ、腹中から昨夜の麦飯が溢れ出て、

 吃驚した若者は、昨夜の僧侶は、この淵の主が姿を変えて、若者たちを諫めに来たのだと悟りました。

 その後、この若者は反省して出家した、とも、乱心して家が絶えたとも、

伝わっています。



【 宗形神社:鳥取県米子市宗像293 】

 アクセス:JR米子駅より車で13分 ( 駐車場 あり )

 国道181号線 伯耆町方面へ、米子バイパス高架を抜けた後、右手。

TEL:0859-26-4127

 約1000年前の「延喜式神名帳」に伯耆六社のひとつとして記される、古い歴史をもち地域の崇敬も篤い神社。御神徳は「武運長久」「海上安全」。

 国道181号沿い、宗形神社の前を流れる加茂川を下流へ約500m『宮ノ谷橋』付近が、かつての宗像淵と呼ばれていた場所と言われています。

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