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奇談散歩【24】 京都みなとや幽霊子育飴本舗

 京都みなとや幽霊子育飴本舗

 〒605-0063 京都府京都市東山区松原通大和大路東入2丁目轆轤町80-4

 営業時間 10:00~16:00 ( 駐車場 なし )

・京阪本線「清水五条駅」下車、5番出口より北東方向へ徒歩10分


 京都東山に、幽霊に飴を売ったという飴屋「みなとや」が現存しており、現在も「幽霊子育飴」を販売している。飴に添えられた由来書によれば、幽霊が育てていた子どもは六道珍皇寺の僧侶になり、寛文6年(1666年)に68歳で入寂したという。この伝承に因るなら、幽霊が飴を買いに来たのは慶長4年(1599年)の出来事であろうか、


 あらすじ

 ある夜、店じまい後に青白い顔をした女性が飴を買いに訪れ、店主は不思議に思いながらも飴を売り、代金として一文銭を受け取った。

 その日を境に、店じまい後、同じ女性が飴を買い来るようになったが、女性は口数少なく、在所は何処か聞いても答えない。不審に思った店主は、ある夜、女性の後を付けることにした。

 店を出た後、女性は墓場へ行き、まだ新しい土饅頭の前で、掻き消すようにその姿は見えなくなった、墓下からは赤子の泣き声が聞こえてくる。慌てて主人が土饅頭を掘り起こすと赤子が棺桶の中で泣いていた。

 店主は、埋葬された後に出産した女性が幽霊となって、三途の川の渡し賃である六文銭を使って飴を買い、赤子を養っていたのか、と合点した。

 この子供は寺に引き取られ、後に高徳の名僧になったと伝わる。


 子育て幽霊・死後出産の伝承は全国に分布しており、

 モチーフ、プロット、結末などに異なる点※1 は有るものの、類話は多く、落語等、創作の題材にもなっており、特に「飴買い幽霊」は有名で、この伝承は『墓場の鬼太郎』の原案といわれています。※2

日本の「飴を買う女」は、南宋の洪邁が編纂した『夷堅志』に掲載された「餅を買う女」と酷似しており、「飴を買う女」の原型は中国の怪談であったと考えられており、また、死後出産の説話はガンダーラの仏教遺跡のレリーフにも見られ、日本で流布している話の原型は『旃陀越国王経』であると考えられています。



※1 六文銭を使い切り、(しきみ)の葉をもってくる、羽織を置いていく、などのバリエーションがあり、石川県金沢市の西方寺さいほうじには ≪ 病で亡くなった身重の女性を手厚く葬ったところ、死後に赤子が生まれた。その赤子の泣き声を聞いたお地蔵さんが赤子を不憫に思い、飴を買い与えていた。( 飴買い地蔵 ) ≫ と、母では無く、お地蔵さんが活躍する伝承もあります。


※2 伊藤正美氏の『ハカバキタロー (『子育て幽霊』を原案とした紙芝居で、死後出産で誕生した子供、奇太郎が活躍するという怪奇もの )』が、水木しげる氏の『墓場の鬼太郎 ( 後のゲゲゲの鬼太郎 )』の原型。戦後、紙芝居作家としてスタートした水木しげる氏は、関西の紙芝居業界の元締め鈴木勝丸氏の奨めを受けて、伊藤氏の了承後に作品を引き継ぎました。


 昔は、人が亡くなると山に帰ると考えられており、京都市中から鴨川を超え、東山手前に鳥辺野(とりべの)と呼ばれる埋葬地がありました、この鳥辺野にいたる道筋が「六道(ろくどう)の辻」。

『みなとや幽霊子育飴本舗』さんの店舗は、この六道の辻に面しており、

「六道」とは、仏教の教義でいう地獄(じごく)道・餓鬼(がき)道・畜生(ちくしょう)道・修羅しゅら(阿修羅)道・人道・天道の六種の冥界を指し、この「六道」が交わる辻、彼岸と此岸の境目とされた場所に立地している店舗です。


 地中より生まれた子供が彼岸に最も近い僧侶 ( 境界に立つもの ) になる。

 母の子宮より生まれ墓所という子宮 ( 土中 ) に帰る世の習いの逆で、常ならぬ英雄が常ならざる誕生をするように、高徳の僧の出自が「死後出産である」というのも、舞台となった飴屋さんが六道の辻 ( 境界 ) に建っているというのも、そういうことなんでしょうか… と合点のいくような気もします。

 やはり、良く知られ広く分布している民話・怪談・伝承は元型に近い強い物語の構造を持っているんですね。


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