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鬼とも神とも


今は昔、


30年ほど逆登って平成のこと、

私は時代に名を遺す、本物の天才に見える僥倖を得た。


不世出と謳われ、鬼とも神とも称えられた武道家、

既に全盛期は過ぎ、老境に差し掛かったとはいえ

その人の、隆々とした筋肉、体躯は凄まじいものだった。

しかし、

伝説で語られる背中より、特筆するべきはその足。

「僕はねぇ、九州男児だから“これ”が好きなの」

と、ボンタン飴の箱をカラカラ振る、好々爺然としたその人の足は、

― 人の足ではなかった。


足底に触れた瞬間、私の全身の毛が逆立った。

どの様な修練を積めば人の足がこの有様になるのか、見当もつかなかった。

触れたら斬れるほど鋭利な踵、

足底の筋肉と腱が発達しすぎて深く抉れた、いや、切れ込んだ土踏まず。

言葉にすればそうなのだが、

筆舌に尽くし難いとはこのこと、

言葉を無くす私に、ニコニコと、

「ほぅ、わかるの? 僕はねぇ、体重移動が上手くてね、それで強かったんだよ」

史上最強のその人は眼下の小僧にそう言うのだった。


言葉など無く、

ただ、その足下に平伏すしか無い「何か」があるのだと、その時思った。

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