文学少女
知人の女性が女子学生で、まだ昭和だった頃、
文学少女だった彼女は都内の文豪のお墓を巡って、お墓参りをしていた時期があったのだそうだ。
とある古刹に友人と二人で出かけた時の事、なかなか目当ての文豪のお墓が見つからず、お寺の中をうろうろ迷ってしまった。
古いお墓が密集しているあたりで、大きくて立派なお墓の横にしゃがみこんでいる人が居る。
お寺の管理人さんかな? と思ったが、
その人はお墓の横の土を掘り返すような動作をしており、怪しいと思って、気付かれないように距離を取ったのだそうだ。
その後に、お寺のお坊さんに会ったので、変な人がいるのですが…、
と、今見た人のことを話したのだが、
「ああ、その人なら大丈夫ですから…」
お坊さんは慌てたそぶりもなく、拍子抜けしたのだが、
男性のことを気にかけてない様子が、かえって気になり、食いさがって事情を聞いたのだそうだ。
お坊さんも根負けして、
「良く分からないが、何十年も前から時々現れる人で、気が付くと現れて消えている」
「この世のものではないようなのですが、特に困ることもないので様子を見ている」
と、話してくれた。
掘り返されていたはずの場所は土の盛り上がりも無く、
確かに男性はこの世の人ではなさそうだ。
「何で、お寺でそんなことしているのか分からないんだけどね、」
「私は入るはずのお墓に入れなかったから出てきてるのかなぁって、何となく思った」
と、彼女は推理を披露してくれた。




