People acting secretly
ザァァァァ……。
何処か遠くで、水が流れ落ちる音が聞こえる。
じゃり、じゃり、じゃり…。
小石を踏み締め、歩く音。
その音は、二つ。
…その足音が向かう先、河辺に伏す姿が一つ。
「…彼女が、そうなんだね」
「…ああ」
男二人の声が、辺りに木霊する。
じゃり、じゃり、ざっ。
地が砂利から砂へと変わる。
先に口を開いた、やや若いと思われる男が、倒れている人物の首筋に手を当てた。
「…驚いた。生きているよ、彼女」
「…あれ位で死んでもらわれては困る」
若い声が嬉しそうに驚嘆するのとは対照に、もう一つの声は落ち着き払っている。
「…フフ。本当はホッとしたくせに」
若い男が振り返り、茶化すように声を掛ける。
「…個人的な事だ。回収するぞ」
「素直じゃないね。まぁ良いさ」
微笑を浮かべ、倒れていた女性を担ぎ上げる。
「…先に行け。ヘリは予定地点に待たせてある」
「はい。分かったよ。兄さん」
若い男は振り返る事無く、その場を去っていく。
兄さんと呼ばれた男は、しばらく佇んでいた。
「…狂人の兄は死んだ。二つの軍も解体される」
河面を見つめる。
「…私は、私には、こうする事しか出来ない」
両手を、真っ白になるまで力を籠め握り締める。
「だが、貴女が、そうだというのならば………致し方ありません」
河面に背を向ける。
「貴女は…そう。貴女は己の宿命を受け入れていた。だから、自らの名を…」
「貴女は、最初にして、最後の一人」
「強化兵、ナンバー、ゼロ…」
TLS外伝
~a crying soldier~
完




