雨に濡れ、
ゴォォー…ンン…。
雷鳴が後を追い、消えていく。
「………」
「………」
叢雲と蒼琉、双方が背中合わせに互いの武器を構え佇んでいた。
ブシュウッ!
「ぐっ…ッ!」
胸から左肩にかけての刀傷から鮮血が噴き出す。
バシャッ…!
たまらず叢雲が膝を着く。
「…ヘッ」
蒼琉が刀を下ろし、
「全く、スゲー奴だぜ…」
振り返る。
ドバシュッッ!!
「ぐあっっ!!」
直後、蒼琉の左脇腹からおびただしい量の鮮血が溢れる。
グラリ…。
仰向けに天を仰ぎ、
バシャァンッ!
大の字に、臥す。
「ク…ッ…。ハァ、ハァ…」
叢雲が膝を励まし、何とか立ち上がる。
…ザ…ザ…ザ…。
覚束ぬ脚を進め、蒼琉へと近付く。
「…テメェの、勝ちだ」
自らの躰から命が流れ出していくのも気に留めず、叢雲をしっかりと見据え言葉を紡ぐ。
「…サッサと、その馬鹿デカい剣で、止めを刺せ」
その言葉に、右手に持つ大剣を見やる。
「…いや」
ガ…シャッ。
大剣を背負った。
「もう、必要無いさ」
「…ヘッ。仕返し、か」
蒼琉がニヤリと笑う。
「………」
叢雲が肩をすくめ…ようとして、傷が痛み顔をしかめる。
「ま、俺に勝った男だ…。その位の権利、くれてやらぁ…」
ス…。
ゆっくり右目を閉じる。
「これで、俺、も…」
声音が途端に弱々しくなる。
「南条…。次は、剣の…」
うわごとの様に口を動かす。
「父さん、母さん…真っ先に…」
…カラン
手にしていた妖刀が、手から離れる。
サァァァ…。
雨は降り止まない。
「…ううっ、うう…ああぁぁぁあああ…」
雨が溢れる涙を隠し、またその嗚咽を優しく包み込んでいた。
…この日、北海道で長きに渡って続いた紛争が終結したのである。




