a girl with the soldier
「ハァ、ハァ…」
敷島はいまだ駆けていた。まだ目的地に着かない事に、だいぶ焦りの色が見え始めていた。
―――何で着かへんのや…。もしかして、騙された…!?
そう思っていた時、それが聞こえた。
…おーい…
「!?」
聞き覚えのある声に、思わず急ブレーキを掛ける。
バッッ!
後方を振り向く。
「…!」
遥か後方から走り寄る姿。
…須藤だった。
「ユ~~~コ~~~~!」
あまりにも間抜けな声で呼びかけながら走ってくる須藤に、嬉しさと可笑しさで思わず笑いが込み上げる。
「ツンツンッッ!!おっそいわっ!!」
タタタタタタ…。
「いやあ、悪い悪い。ちょっと話こんじまった」
そんな筈は無い、と突っ込みを入れようと思ったが、そんな場合では無いと思い直し、先へと促す。
「早よ行こ!急がなねぇちゃんがッ!」
「おう!道はこっちで合ってるみたいだ。急ごう」
「了解ッ!」
須藤の言葉に力を取り戻した敷島が、弾かれた様に再び駆け出す。
「ツンツンッ!早く!」
出遅れた須藤が微笑する。
そして駆け出す。
―――レイ…。間に合ってくれ…。
祈るような気持ち。
それは…。
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「一体どういう事だ」
「だーから、もうすぐ分かるっつってんだろ」
未だに周囲の兵士達が構えるライフルの銃口は南条に向けられていた。その中心で南条と蒼琉の押し問答が続いている。
…タタタタタタ…。
不意に足音が聞こえてくる。
「…!?」
「…来たな」
キリキリキリキリ。
と、音がしそうな程、吊り上った唇が更に吊り上がった。
―――角を曲がる。
「…あっ!」
突き当たりには、開け放された扉があった。敷島が声を上げたのは、その向こうに見えた姿の為。
「ねぇちゃんッ!」
敬愛する者の姿を認め、一層速く駆ける。
「レイ!…ハッ!」
その後を追う須藤。敷島と同じく南条の姿を認めたが、直ぐ様子がおかしい事に気付く。
―――何かやべぇっ!止めねぇと!
「ユーコ止まれぇぇぇっ!!」
「…侑子ッ!?来るなッ!」
須藤と南条が同時に叫ぶ。だが敷島には届いていなかった。
ただ今は、姉でもあり母でもある南条のぬくもりを少しでも早く確かめたかった。
―――スッ…。
蒼琉が一人の兵士に目配せをし、ゆっくりと手を挙げた。
―――あの外道めッ!
南条は横目で蒼琉が手を挙げるのを見ていた。間違い無く敷島を狙撃させるのは目に見えていた。
―――させるか…ッ!
「ねぇちゃんッッッ!」
敷島が部屋に飛び込む。
「やれ」
バッッッ!
敷島が姿を現すや否や、蒼琉が手を振り下ろす。
ダァァァァン!!
室内に銃声が響き渡った。




