狂善者
「ハッ、なかなかやるじゃねぇか」
蒼琉が報告を受け、ニヤリと嗤う。
先程あった初戦での結果は惨敗。だがしかし蒼琉にとっては小手調べでしかなかった。
「侮ってはなりませんぞ。彼奴等は倍以上の戦力を撃退した事になるのですからな」
傍らの奇十郎が語る。
「ヘッ、んなこたぁ分かってるんだよ。…おい、そろそろメインディッシュを出せ」
報告に来た兵士に指示を出す。
「ハッ!畏まりましたッ!」
ザッ、と敬礼しその場を離れる。
「蒼琉様?まだ早いのでは…?」
「いーんだよ!出し惜しみしたってしょうがねぇ」
やや訝る表情の奇十郎に蒼琉が返す。
ガシャガシャ…。
二、三言葉を交わす内に、金属音が混じった足音が聞こえてきた。
コンコンッ。ノックの音が終わるか終わらないかの内に扉が開く。
「失礼します」
ややくぐもった声で、一人の人物が現れた。
「よお。出番だぜ」
…蒼琉の眼前に、全身鎧に包まれた男が居た。
「ハッ。我等の国の為、全力を尽くします」
肩から銃を掛け、腰に刀を携えた男が敬礼する。
「ま、あんまりカタくならねーようにな」
蒼琉はニヤリとすると、手元の時計を見る。
「っと。早速だがそろそろ客が来る筈でな。丁重にもてなしてやってくれ」
その言葉に奇十郎が眉を顰める。
「蒼琉様?それは一体…?」
「アン?」
奇十郎を振り返ると、再び笑みを浮かべる。
「なあに、ヤツらを招待しただけさ」
「は?」
「オレがここでただふんぞり返ってるだけだと思うか?」
言って、これから面白い事が起きると言わんばかりに唇を歪める。
「蒼琉様…!」
「いちいちうるせーよ。ゲームは楽しまなきゃ面白くねぇ」
再度鎧の男に振り返る。
「パーティーの準備、頼んだぜ?」
「…畏まりました」
男は一礼すると、その場を後にした。
「………」
これから何が起きるか察した奇十郎が、歩を進めた。
「奇十郎」
その背に声を掛ける。
…歩みが止まった。
「邪魔すんじゃねぇぞ?」
「…心得ております」
ギィ…。バタン。
短い返答だけ残し、奇十郎は姿を消した。
「ヘッ」
そして蒼琉は不敵な笑みを浮かべたのだった。




