二人
ウォンンッッ!
南条達の拠点にあるガレージ。その一つに、須藤の姿があった。
『実は、つい先程斥候から連絡があったのです。敵拠点の特定ができたと』
黒田から聞いた話を思い返す。
『場所は、道央D地区、やや離れた山の中です。幸いにして車両は通行可能だそうですが、途中検問が敷かれているようです』
パラッ。地図を開く。
『そこで、検問の危険の少ないであろうルートを提示します』
地図には、山中を迂回して、東のハイウェイから徐々に北上するルートが記されていた。
『そのルートなら、検問はまず無い筈。後は至近のインターで降りて、ほぼ一本道です』
地図には、目的地であろう位置に×印が付いていた。
ヘルメットを被る。
ヴォンッ!
アクセルを捻り、エンジンの音を確認する。
―――調子は悪くないな…。
頷くと、サッと跨る。
サイドには、『刀』のエンブレム。かつて南条が乗っていたバイクだった。最近は南条も忙しく手が離せなかった為、須藤が借り受けていたのだった。
『…よし』
呟き、クラッチを繋ぐ。
ヴォォォオ…!
低い唸りを上げながら、ゆっくりと動き出す。
と、そこへ。
ザザッ…!
『!』
「待ちぃな!」
敷島が眼前に躍り出る。
『どうしたーっ!?』
エンジン音に声が掻き消されぬ様大声で喋る。
タタッ。
敷島が小走りで近寄る。
「ウチも連れてけ!」
須藤が眉を顰める。
『バカ言うなよ。あぶねぇって』
「イヤや!やっぱりこのままじゃあ不安で不安で仕方無いんや!頼む!連れてってや!」
パンッ、と眼前で拝むように手を合わせる。
『………』
しばし思案する。
―――俺一人なら何とかなるけど…。果たして守りきれるか…。
「心配いらん!自分の身は自分で守るわ!」
須藤の心を見透かしたかのように敷島が自分の胸を叩く。
『…分かったよ』
一つ、溜息を吐くと観念する。
「よっしゃあ!」
ガッツポーズをする敷島に、須藤が苦笑いを返す。
『じゃあ、あそこにあるヘルメットを着けてくれ。すぐ出るから』
「おぅっ!」
ガレージの隅、棚の上にあるハーフヘルメットを取り上げると、もどかしげに被る。
「おっしゃ!」
ひょい、という擬音が聞こえそうな程、軽やかにタンデムシートに飛び乗る。
「オッケー!ツンツン急ぎや~!」
ハイハイ、と苦笑いしながら再度クラッチを繋ぐ。
ヴォォォオ…。
二人を乗せたバイクが、再び唸りを上げ動き出す。
…その先に待ち受ける運命も知らずに。




